本間宗究(本間裕)のコラム

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2017.11.20

トランプ大統領のアジア歴訪

「11月3日」から始まった「トランプ大統領のアジア歴訪」は、「14日」に、無事に終了したが、今回の訪問で見えてきたことは、「アメリカ」と「中国」との「対比」でもあったようだ。具体的には、「一帯一路構想」を掲げ、「グローバリズム(地球主義)」を追求する「中国」と、一方で、「アメリカファースト主義」を掲げ、「ローカリズム(地域主義)」に向かっている「アメリカ」のことである。

つまり、「経済が成長し、海外に売れる商品を持っている国」は、当然のことながら、「グローバリズム」を標榜し「自由貿易」を求めるが、一方で、「経済が停滞し、海外に売れる商品が少なくなった国」は、往々にして、「保護貿易」に向かいがちになる傾向のことである。別の言葉では、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西洋の時代」が終焉し、「東洋の時代」が始まった事実を象徴するような出来事だったものと考えているが、この時の注目点は、「中国の一帯一路構想は、本当に、実現可能なのか?」ということである。

より具体的には、「中国の夢」と言われる「2049年までに、中国が世界の覇権国家になる可能性」については、典型的な「西洋の時代」の思考方法のようにも思われるのである。つまり、「19世紀の大英帝国」や「20世紀のアメリカ」のように、「武力と経済力で、世界経済を支配する方法」については、実際のところ、「歴史の流れ」や「経済理論」を無視した考え方のようにも感じられるのである。

そして、この点については、今後、数年内に結論が出るものと思われるが、私自身が最も注目している点は、やはり、「実体経済」と「マネー経済」との関係性であり、実際には、「金利上昇時に、マネー経済が、どのような展開を見せるのか?」ということである。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、世界の「マネー経済」については、「実体経済」の「約10倍」という規模にまで大膨張し、その結果として、現在の「中国の発展」が実現されたのである。

しかし、現在では、「2007年から2008年」にかけて発生した「GFC(世界的な金融大混乱)」や、その後の「先進各国における金融緩和からの出口戦略」に関する理解が不十分な状況とも言えるのである。つまり、これから想定される「金利の急騰」や「本当のインフレ(通貨価値の下落)」が、現在では、まったく考慮されておらず、単に、「ギャロッピング・インフレ」がもたらす「世界的な好景気と株高」に酔いしれている状況のようにも感じられるのである。