本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.1.24

バブルのメカニズム

現在、マスコミで盛んに議論されていることに、「バブルの発生」があるが、実際には、「日米を始めとした株価の高騰が、すでにバブル状態となっている可能性」とも言えるようである。つまり、「1990年の日本株バブル崩壊」や「2000年のITバブル崩壊」などが思い出され、「再度、悲劇が繰り返されるのではないか?」という危機感が蔓延しているようだが、現時点で必要な点は、「バブルのメカニズム」や「お金の性質」を、正確に理解することだと考えている。

具体的には、「時価総額」と「浮動玉」の関係性を考えることだが、この点については、「1980年代後半」に発生した「日本の土地バブル」が参考になるものと考えている。つまり、「1985年に約600兆円」だった「日本の土地の時価総額」が、その後、「1990年に約2400兆円前後」にまで増えたのだが、この時、「浮動玉」という「実際に投入された金額」は、僅か「約60兆円」という規模だったのである。

別の言葉では、「レバレッジ(テコの効果)」が働き、「時価総額の急増」が発生したのだが、その後、「さまざまな規制や投入資金の減少などにより、あっという間に、バブルが崩壊した」というのが実情でもあった。つまり、「上昇のエネルギー」が使い果たされた時に「バブルの崩壊」が発生するものと考えているが、この点を、現在に応用すると、まったく違った姿が見えてくるようにも感じている。

具体的には、「2008年前後」に発生した「GFC(グローバル金融危機)」により、すでに「信用バブル」が崩壊している可能性である。つまり、「デリバティブバブルの崩壊」により、「メルトダウン(炉心溶融)した資金」が、その後、「国債」や「ビットコイン」の「バブル」を引き起こしたものと想定されるのである。そして、今後は、新たな「紙幣バブルの発生」、すなわち、「世界的な大インフレの到来」を想定しているが、この理由としては、「先進各国の全てで、紙幣の大増刷が実施される状況」が想定できるようである。

つまり、「国債価格の暴落」とともに、「政府」や「中央銀行」の資金繰りが厳しくなり、その結果として、「最後の手段」である「紙幣の大増刷」が実施される可能性のことである。また、この時に発生する現象は、「大量の紙幣」が市中に出回ることにより、「名目的な時価総額」は増えるものの、一方で、「通貨価値の下落」により、「実質的な時価総額」が減少する可能性でもあるが、実は、このことが、「1923年」の「ドイツのハイパーインフレ」から経済用語となった「劇的な物価上昇」を意味しているのである。