本間宗究(本間裕)のコラム
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2017.12.9
囚人のジレンマ
「11月29日」に行われた「中曽日銀副総裁の講演」が注目を浴びているが、その理由としては、「預金口座の管理料」に言及した点が指摘されている。つまり、日本でも、欧米並みに、「預金口座の管理に対して、料金を徴収する意見」を述べられているが、私自身としては、「中曽副総裁の真意」は、別のところに存在しているようにも感じており、実際には、「囚人のジレンマ」という言葉が、たいへん気に掛かる状況でもある。
ただし、この点については、「銀行間の過度の金利下げ競争」と「銀行の収益性」に関する「ジレンマ」とも説明されており、具体的には、「互いに過度な金利競争を回避すれば収益を維持できる一方、自行だけが競争から離脱すれば、他行に顧客がシフトし一人負けする可能性がある」という点を指摘されている。しかし、実際には、海外の銀行と同様に、「金利の競争」ではなく、「多様な金融商品の提供」という「別の競争」により「収益の向上」を図る方法も存在するのである。
そのために、「中曽副総裁」は、今回の演説で、「地域金融機関の苦境」を説明しながら、実際のところは、「日銀の苦境」を訴えたかった可能性も考えられるようである。具体的には、「財務省の言いなり」となり、「日銀の独立性」が、ほとんど失われたような状況に対して、「日銀の生え抜き」として「大きな危機意識」を持っている可能性であり、この点が「囚人」という言葉で表現されたようにも感じられるのである。
つまり、現在では、「異次元の金融緩和」が行き詰まりを見せており、実際には、「国債を買い増しする資金的な余裕」が無くなりつつある状況とも考えられるのである。しかも、この時に、「国債入札に関する問題」、あるいは、「国債価格の暴落懸念」も存在するために、「今後、日銀が、どのような方法を取れるのか?」、あるいは、「日本全体が、どのような状況になるのか?」が憂慮される状況とも考えられるのである。
別の言葉では、「預金から株式や貴金属への資金移動が望まれる状況」とも想定されるために、今回、あえて「銀行口座に関する管理料」が指摘されたようにも感じているが、この点については、今後、「中曽副総裁」が言及された「金融のメルトダウン(炉心溶融)」が「紙幣の部分」にまで達した時に、全てが明らかになるものと考えている。そして、この点に関する「時間的な余裕」は、ほとんどなくなったものと考えているが、実際には、「ビットコインのバブル」が弾けた時から、「実物資産価格の上昇」という、本格的な「インフレ」が始まるものと想定している。