本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2018.2.2

先進国の需給ギャップ解消

「1月28日の日経新聞」に、「先進国の需給ギャップ解消」という記事が掲載されたが、具体的には、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)以降、『先進国の総需要』が『総供給』よりも少なかったために、いわゆる『デフレ』が発生していたが、現在では、『総需要』が『総供給』を上回り始めた」というものである。つまり、「インフレの発生」を示唆した記事のようにも思われたが、同時に感じたことは、「過去10年間に発生した資金の流れが理解されていないのではないか?」ということでもあった。

具体的には、「2008年からの10年間」については、結局のところ、「大量の資金」が、「国債」や「ビットコイン」などの、いわゆる「金融商品」に流れた状況だったものと考えている。つまり、通常の「インフレ指数」では把握できない動きが発生していたものと思われるが、この点については、「実体経済」だけを研究している「既存の経済理論」では、全く説明が付かなかった状況でもあったようだ。

別の言葉では、「政府」や「メガバンク」などが、「大量の資金」を創り出した結果として、「金融のコントロール」が行われていた状況のようにも感じているが、この点については、「ほとんどの国民が、『増税』や『超低金利状態』を、甘んじて受け入れざるを得なかった」ということも、間違いのない事実だったものと考えている。つまり、「一億総我慢」とでも呼ぶべき状況が、「日本」のみならず、「先進各国」で発生していたものと思われるが、前述の「需給ギャップ解消」が意味することは、「国民の堪忍袋の緒が切れた状況」、あるいは、「政府の金融コントロールが限界点に達した状況」とも言えるようだ。

より具体的には、今まで「金融のメルトダウン(炉心溶融)」が、一般庶民に影響が及ばない「国債市場」で発生していたものの、最近では、「ビットコイン」という、「一般投資家」が参加する段階にまで達しているものと考えられるのである。別の言葉では、「コンピューターマネー」という「単なる数字の世界」で「インフレ(通貨価値の下落)」が発生していたものが、最近では、「実体経済」の分野にまで、「金融のメルトダウン」が影響を及ぼし始めた状況のことである。

つまり、「古典的な意味でのインフレ」が、ようやく始まるものと想定されるが、このことは、「インフレの大津波」が、われわれの生活を脅かし始める状況を意味しており、けっして、安心できるものではないが、当面は、「株高」や「貴金属価格上昇」などにより、「多くの人々が、大喜びする状況」も考えられるようである。