本間宗究(本間裕)のコラム
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2018.2.11
BISの新たな総支配人
昨年の「12月1日」に、「中央銀行の中央銀行」と呼ばれる「国際決済銀行(BIS)」において、「総支配人」が、「スペイン出身のカルアナ氏」から「メキシコ出身のカルスペンス氏」に交代した。そして、「2月6日」に「ドイツのゲーテ大学」で、たいへん興味深い内容の講演を行われたために、簡単に説明させていただくが、テーマとしては、次の三点でもあった。
① :お金とは何か?
② :健全通貨の構成要因と暗号通貨の役割
③ :中央銀行の役割
そして、結論としては、「クリプトカレンシー(暗号通貨)」に対して、きわめて厳しい意見を述べるとともに、「中央銀行の役割」を絶対視するような内容でもあった。具体的には、「暗号通貨は、表面的には、通貨のように見えるが、実際には、基本的、かつ、教科書的な通貨としての定義を満たしておらず、また、激しい価格変動は、通常の決済手段や価値の保全に関する信頼性を損なうものである」ともコメントされているのである。
また、「結局のところ、『暗号通貨』は、既存の金融システムを巧みに利用しているような状況であり、また、法的にも同様の状況となっている。そして、このことは、明らかに、中央銀行の責任であり、現在も、また、将来的にも、中央銀行が責任を取るべきである」と述べられるとともに、「中央銀行や金融当局者は、特に、次の二点に留意すべきである。一つは、『仮想通貨』と『現実の通貨』との交換性に関して、パラサイト的な関係、すなわち、『一方が、他方に寄生するような状況』を許してはならないということであり、もう一つは、実際の行政において、『同じリスクには、同じ法律を適用すべきである』という原則を順守する点である」とも強調されているのである。
つまり、「中央銀行の権力」について、絶対的な自信を持っているようにも感じられたが、私自身としては、「暗号通貨」に対する否定は、より巨大な「デリバティブ(派生商品)」の否定に繋がるようにも感じられたのである。また、この結果として、「先進各国の国家財政」や「中央銀行の財務状況」に関して、大きな問題を発生させる可能性を危惧した状況でもあったが、この点については、今までに繰り返して申しあげたとおりに、「世界的な国債価格の暴落」が始まった時に、全てが明らかになるものと考えているが、現在は、すでに、危惧が現実になり始めた段階とも考えられるようである。