本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.2.27

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ

「ドイツの宰相」だった「ビスマルク」が残した言葉に「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」があると言われているが、内容としては、「愚か者は学ぶことなく行動し、その結果失敗して初めて間違いを知るが、賢明な者は、先人の知恵及び知識などから、予め言動の是非を知り、実際に行動する際に失敗しない」ということでもあるようだ。そして、この典型例が、現在の「国債バブル」のようにも感じているが、実際のところ、「1981年から2016年」までの「約35年間」、「金利が低下し続けてきた」という状況だったのである。

つまり、「ケインズ」が主張するとおりに、「30年間も一定の方向性が継続すると、人々は、そのことが永遠に続くと錯覚しがちである状況」となっているようだが、幸いなことに、私自身は、「1977年から1981年」までの「金価格のバブル」と「アメリカの高金利」を経験することができたのである。そのために、現在の「世界的な国債バブル」が、どれほど異常なものであるかを、身をもって感じているが、一方で、「約35年」も続いた「マネーの大膨張」には、たいへん驚かされるとともに、多くの「学び」を得ることができたものと考えている。

具体的には、「GFC(グローバル金融危機)」以降、「先進各国の金融当局者が、どれほど慌てふためき、デタラメな政策を実施したのか?」という点だが、最近、海外では、この事実に関して、「ドイツのハイパーインフレ」、あるいは、「ローマ時代のインフレ」を調べる動きが盛んになっている。つまり、私と同様に、「今後、未曽有の規模で大インフレが発生する可能性」を考慮しているようだが、この点については、「賢者は歴史に学ぶ」という言葉の「実践」とも言えるようである。

そして、結論としては、「ドイツのハイパーインフレ」の時に、「失業率がゼロ%になり、また、人々が投機に走った状況」が詳細に説明されており、まさに、現在の世界情勢を彷彿とさせるような展開でもあった。しかも、「最後の段階に至るまで、当時の人々が、大インフレの発生を予想していなかった」という事実についても、現在と同じような状況とも考えられるのである。

つまり、「今後の1、2年間で、誰もが信じられないような大インフレが発生する可能性」を、海外では危惧し始めたようだが、この点については、「経験し、失敗しない限り、間違いに気付かない状況」となる可能性が高まっているようにも感じている。