本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.3.12

パンドラの箱

最近、色々な所で「パンドラの箱」が引用されているが、この理由としては、「トランプ大統領の貿易規制」や「世界的な利上げ」などが、今後、大きな「災い」を世界にもたらす状況が危惧されているからのようだ。つまり、「ギリシャ神話」では、「パンドラの箱」が開き、「疫病や悲嘆、あるいは、欠乏や犯罪」など、さまざまな災いが飛び出したために、慌てて箱を閉じてしまい、箱の中には「希望」のみが残ったといわれているのである。

つまり、今後、「パンドラの箱」が開き、「災い」が出る状況が想定されているようだが、私自身としては、「1971年のニクソンショック」の時に「パンドラの箱」が開かれ、「人類の欲望」が全面的に開放されたものと考えている。具体的には、この前後から「マネーの大膨張」が始まったが、基本的に、「マネー」は「信用」を形にしたものである。また、「欲望」が「マネーの膨張」の原動力とも言えるようだが、実際に、その後は、「未曽有の規模で、さまざまな金融商品が増え続けた状況」でもあった。

このように、過去数十年間は、「金融面における戦国時代」とでも呼ぶべき様相を呈したが、実際のところ、世界各国で、数多くの「富豪」が誕生し、また、「お金があれば、人々の心まで買うことができる」とまで、多くの人が信じた状況となったのである。その結果として、「お金のためなら、人の命まで奪う」というような「保険金殺人」が多発し、また、多くの「サラリーマン」は、「給料をもらうために、会社の言いなりにならざるを得ない状況」までもが発生したものと考えられるのである。

つまり、現在は、閉じられた「パンドラの箱」に「希望」だけが残り、世界全体が「闇」の状態となっているようだが、これから想定されることは、「パンドラの箱」が、再び開けられるとともに、「希望」が、世界の人々に「光」を与える可能性である。そして、今後の注目点は、「誰が、パンドラの箱を開けるのか?」だと思われるが、実際には、「個人の良心」のようにも感じている。

具体的には、「このままではいけない」という「想い」が、人々の行動を変化させる可能性のことだが、この観点から言えることは、冒頭の「トランプ大統領の存在」は、単に、人々に「気付き」を与える効果しか無かったものと考えている。別の言葉では、さまざまな「反面教師」が現れることにより、「世界中の人々に、覚醒の機会を与えている可能性」のことだが、かりに、私の推測が正しいとしたら、「世界は、間もなく、最も暗い局面を迎え、その後に、新たな時代が到来する状況」が想定できるようだ。