本間宗究(本間裕)のコラム
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2018.5.11
南米のハイパーインフレ
5月9日の日経新聞に、「アルゼンチンが、IMFに3兆円の緊急融資を要請した」という記事が掲載された。「通貨安」と「金利急騰」に悩まされ、すでに、「ハイパーインフレ」が発生しているが、私自身としては、「アルゼンチンとベネズエラの動向が、今後、世界に波及する懸念」を抱いたのも事実だった。つまり、「国家の体力」については、「為替」と「金利」で判断できるが、現在では、世界の弱い国から、国家の体力が失われつつある状況のようにも感じている。
そして、「日米欧の先進各国」についても、決して、安心できるような状況ではなく、今後、「国債価格の暴落」、すなわち、「金利の急騰」が発生した時には、「中央銀行」のみならず、「政府」そのものが、「資金繰り」の問題に直面するものと想定されるのである。別の言葉では、「国債の発行」が難しくなり、「紙幣の大増刷」を始める可能性でもあるが、実際に、現在の「日銀」については、すでに、「ステルステーパリング」という「静かなる国債買い付け額の減少」が始まっている段階とも言えるようである。
また、今後は、「国債価格の暴落」とともに、全ての問題が表面化する状況が想定されるが、実際には、「デリバティブ・バブルの完全崩壊」であり、また、「ドイツ銀行などが、巨額の損失を発表する可能性」などである。つまり、「2008年前後のGFC(グローバル金融危機)」以降、いろいろな問題が、隠蔽、そして、先送りされてきたようだが、「2018年」には、全ての問題が明らかになるものと思われる。
そのために、現時点で必要なことは、「アルゼンチン」と「ベネズエラ」の状況が、「今後、どのように展開するのか?」に注目しながら、同時に、「今後、どの国が、同様の状況に陥るのか?」を注意深く見守ることだと考えている。具体的には、その他の南米諸国や、「ギリシャ」や「スペイン」、そして、「ポルトガル」などのヨーロッパ諸国などのことだが、この点については、「今後の数か月間が、最も注目すべき時期にあるのではないか?」とも考えている。
つまり、「2008年9月のリーマンショック」を中心線にして「時間の左右対称理論」を考えると、「2018年9月」が、「1998年9月」に発生した「LTCM事件」に相当するからだ。別の言葉では、「デリバティブが大膨張した期間」と、その後、「量的緩和(QE)により、デリバティブが積み上げた信用が食い潰された期間」が同じになるために、今後の数か月間は、きわめて要注意の時期に差し掛かったものと考えている。