本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.5.24

恐怖の国のALICE

先日、金融専門家の「グレーヤーズ氏」が、「不思議の国のアリス」になぞらえて「恐怖の国のALICE」という題名のコラムを執筆した。内容としては、「過去100年間、特に過去数十年間は、この小説に書かれていたように、『狂気の茶会』が、世界の金融界で繰り広げられていた」、また、その結果として、「現在のアメリカは、『恐怖の国』に変貌した」という主張である。

具体的には、「現在のアメリカで、5100万世帯の家計が、生活のやりくりができなくなっており、このことは、全体の43%が、人並みの生活を送れなくなっていることを意味する」、また、「このうちの35%は、『ALICE』と呼ばれる『限られた資産(Asset Limited)』、『制約された収入(Income Constrained)』、そして、『雇用中(Employed)』の人々である」というものである。

つまり、日本で言われる「ワーキングプア」、すなわち「貧困線以下で労働する人々」が、現在、「アメリカ」でも数多く存在し、また、「貧富の格差」が激しくなっている状況が、詳しく説明されているのである。そして、この点に関して、「グレーヤーズ氏」は、「人類史上、最大規模の貧富格差であり、後世の歴史家たちに、驚きと教訓を与えるのではないか?」と述べられるとともに、私と同様に、「このような異常事態は、間もなく終了する」とも考えている。

より具体的には、「不思議の国のアリス」に出てくる「王様」や「女王」が、現在では、「政府」や「中央銀行」に相当し、「彼らは、デリバティブなどの不思議な金融商品を作り出し、経済的、かつ、金融的な繁栄を享受している」ともコメントしている。つまり、「トップにいる0.1%の人々」が贅沢な生活を享受しているが、この理由、あるいは、要因として、「国民は気付いていないものの、将来的には、国民が返済すべき借金によるものだ」とも述べられているのである。

そして、「不思議の国では、アリスが夢から覚めた時に、恐怖が消え去ったが、現在の恐怖の国では、夢が覚めることはなく、全ての人々が、現実を受け入れなければならない」とも結論付けている。また、この時に、自分を守る方法は、やはり、「金や銀などの貴金属」を購入することであるとも述べられているが、残念ながら、現在の日本人は、いまだに、「マネー依存症」に冒されており、現実世界を理解しようとしない態度を取り続けているようにも感じられるのである。