本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2018.6.24

命懸けの飛躍

現在、「メルカリの上場」や「キャッシュレス社会の到来」などが、マスコミの話題となっているが、少しだけ過去を振り返ると、「2017年」が「ビットコイン」、そして、「2016年」が「マイナス金利」の絶頂期だったことが見て取れる。つまり、私の想定する「金融逆ピラミッド」において、着実に、「金融のメルトダウン」が進展しているものと考えているが、ほとんどの人々は、過去を振り返ることを忘れ去り、単に、目先の変化だけに捉われているようにも感じられるのである。

別の言葉では、「現実」を直視することに対して、一種の「恐怖心」が存在するようにも思われるが、現在の「メルカリ」のように、「商品が、短期間で、お金に替わる」という状況は、人類史上、ほとんど存在しなかった異常な出来事である。つまり、「お金の性質」からは、昨年の「ビットコイン」よりも、よりバブル的な状況となっているのだが、この点を指摘する人は、ほとんど皆無の状態となっている。

かつては、「命懸けの飛躍」という言葉が存在し、「作った商品が販売される」、すなわち、「商品が、お金に替わる」という状況が、実は、「奇跡的な出来事だ」と理解される時代が存在した。具体的には、「19世紀」では、「ヨーロッパ」を始めとして、世界全体が、このような状況だったが、この理由としては、「通貨の残高」が少なく、また、「人々の、通貨に対する信用が、ほとんど存在しなかった点」が指摘できるようだ。

つまり、現在とは違い、「中央銀行」が存在せず、また、「金貨」や「銀貨」などが、通貨として使われていた時代だったからだが、その後の「約100年間」については、人類史上、最も「通貨の量」が増え、また、「価値」が上昇した期間でもあった。別の言葉では、「単なる数字」が「通貨」となり、「世界のコンピューター・ネットワークを駆け巡る」というように、歴史的にも初めての事態が発生しているが、問題は、現在のバブルが弾けた時である。

具体的には、「コンピューターマネー」という「仮想現実の世界」から、「紙幣」という「現実世界」へと、「人々の信頼する通貨」が移行し始める可能性だが、この点については、昨年の「ビットコイン・バブル」を思い出す必要性があるものと考えている。別の言葉では、過去数年間が、人類史上、極めて異例な「通貨の堕落」、あるいは、「金融のメルトダウン」が、世界的に進展していながらも、「この点に気付く人が、ほとんど存在しない状況」でもあったようだ。