本間宗究(本間裕)のコラム
* 直近のコラムは、こちら。
2018.7.4
トランプ大統領の勘違い
現在、世界の金融市場は、トランプ大統領が仕掛けた貿易戦争で、混乱状態に陥っているが、今後の注目点は、「いつ、トランプ大統領が、自分の勘違いに気付くのか?」だと考えている。つまり、「トランプ大統領」としては、「米国の金融力と軍事力を頼りにして、他国から、貿易面での譲歩を引き出そうとしている状況」とも言えるようだが、このことは、過去の推移を無視した暴挙のようにも感じられるのである。
具体的には、「1990年代の前半」に発生した「米国における国家財政の破綻危機」を忘れている可能性のことでもあるが、当時は、「国家の財政問題」に加え、「民間金融機関の破綻危機」、そして、「巨額の貿易赤字」などで大騒ぎの状況となり、この危機を救ったのが、「デリバティブの大膨張」だったのである。つまり、「1990年代の後半」から、急激に残高を拡大した結果として、「民間金融機関」のみならず、「米国の国家財政」までもが、危機的な状況を脱することができたのだった。
しかし、現在では、「喉元過ぎれば、熱さ忘れる」という言葉のとおりに、「米国の金融力と軍事力は、かつての力を取り戻した」と錯覚されているようだ。具体的には、「張り子のトラ」のような「金融の力」を頼りにして、今回、「貿易戦争」が仕掛けられたようだが、実際には、「世界的な信用」を失うことにより、「米国の金融そのものが、根本的な力を失う可能性」が存在するようにも感じられるのである。つまり、今回の「貿易戦争」が、結果として、世界の「金融システム」や「通貨制度」を、全面的に崩壊させる可能性が存在するものと想定されるのである。
このように、現在の「米国の強さ」が「砂上の楼閣」というべき状態にありながら、「トランプ大統領」は、まったく気づいていない状況のようにも思われるが、実際には、過去20年間に発生した「デリバティブの大膨張」、そして、その余力として発生した「量的緩和」が、間もなく、限界点に達するとともに、反動的な力が発生する可能性が、今回の「BISの年次総会」で、大々的に警告され始めたのである。
具体的には、「金利のスナップバック」のことだが、今までの推移を考えると、「今後、どれほどの金融大混乱が発生するのか?」については、全く予断を許さない状況とも言えるようだ。つまり、トランプ大統領が、自分の勘違いに気付くときが、実際の崩壊が始まった時であり、この前後から、本格的なインフレがスタートし、世界的な株高が始まるものと想定している。