本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.8.14

大事件の予兆

「2018年9月」は「歴史的な大転換期」になる可能性が高まってきたようだが、この理由としては、「1998年9月」に発生した「LTCM事件」、そして、「2008年9月」に発生した「リーマンショック」が指摘できるものと考えている。つまり、「過去20年間」について、さまざまな角度から検討を重ねると、「オフバランスにおけるマネーの大膨張」が、大きな役割を果たした可能性があるようにも感じられるのである。

具体的には、以前から指摘してきた「デリバティブ(金融派生商品)」のことだが、実際は、「約9割が、オフバランス(簿外取引)で取引されていた」という状況であり、その結果として、通常の「金融システム」や「金融政策」に対して、大きな「歪み」を発生させた可能性も存在するのである。つまり、先進各国における「歴史的な超低金利状態」や「マイナス金利の出現」については、大量に創られた「デリバティブ」と「コンピューターマネー」でしか説明が付かない状況とも思われるのである。

より詳しく申し上げると、「通常の金融システム」においては、「民間金融機関」と「中央銀行」との間で「資金の調整」が行われ、「金利」が決定されるが、今回は、「両者の協調により大量のデリバティブが創られた結果として、金利を押し下げる効果が存在した状況」とも想定されるのである。つまり、「過去のバブル」とは違い「屋上屋を重ねたようなバブル」となっている可能性のことだが、今後の注目点は、「このバブルが弾けた時に、どのような現象が発生するのか?」ということである。

別の言葉では、現在の「信用本位制」を理解しなければ、「今後の展開」が読みにくい状況となるものと考えているが、この点については、すでに出始めた「兆候」についても、同様の状況となっているようだ。つまり、「米国の貿易戦争」や「中南米のハイパーインフレ」、そして、「トルコの通貨問題」などの全てが、これから発生する「大事件の予兆」であり、今回も、過去の経験則のとおりに、2か月前から起き始めている可能性である。

つまり、「1997年8月に起きた世界的な信用収縮」、そして、「2007年7月から始まった世界的な信用崩壊」の時にも、現在と同様に、約2か月前から、さまざまな兆候が出現したのである。ただし、今回は、「末尾に7の付く年」ではなく、「末尾に8のつく年」という違いが存在するが、基本的に理解すべき点は、「異常な事態は、必ず是正される」という「歴史の真理」であり、実際のところ、過去数十年間は、「人類史上、未曽有の規模で、金融面での異常事態が発生した状況」だったものと考えている。