本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2018.8.13

8000兆円の不良債権

現在では、ようやく、「危機の本質」が見え始めてきたものと感じているが、この点については、詳しい説明が必要であり、実際のところ、私自身が経験した「金融界での42年間」を振り返ると、実に、厄介な展開だったことも理解できるのである。特に、「1971年のニクソンショック」以降の情勢については、「お金」に関して、「質」と「形態」が劇的に変化し、結果として、「コンピューターマネー」という「単なる数字」が、「デリバティブ(金融派生商品)」を大膨張させたことも見て取れるのである。

より具体的に申し上げると、「1980年代の初頭」から「デリバティブ」の残高が急速に増え始め、その結果として、「金利の低下」が、世界的に発生したが、この時の問題は、「2008年前後に、約8京円でデリバティブの残高がピークを付けながら、その後も、依然として、金利の低下が続いた」という展開だった。つまり、「金融のメルトダウン」が進展し、「債券」や「預金」のバブルが発生した状況のことだが、現在でも、この点を理解する人は、ほとんど皆無の状況とも言えるようである。

そのために、今後、注目すべき変化は、「金利の上昇」とともに「デリバティブのバブル崩壊」が世界的に表面化する可能性だが、この時に危惧される事態は、「巨額の不良債権」が世界的に発生する展開だと考えている。具体的には、「日本の土地バブル」の時に、「ピーク時の時価総額に対して、約10%の不良債権が発生した」と言われており、今回、「約8京円」と言われる「ピーク時のデリバティブ総額」に、この比率を当てはめると、今後、「約8000兆円もの不良債権」が世界的に発生する可能性が存在するのである。

別の言葉では、これほどまでに巨額な不良債権が、水面下で存在していたために、今まで、「金融緩和の出口戦略」が先送りされてきたものと考えているが、実際のところ、現在の「金利」や「債券」に関する「さまざまな記事」については、私の予想を裏付けるものとなっているようにも感じている。

そして、今後、世界的な「金利の急騰」、すなわち、「国債価格の暴落」が始まった時に、「私の仮説が正しいか否か?」が検証されるものと考えているが、かりに、「約8000兆円の不良債権」が、私の想定どおりに発生すると、その時には、「世界全体で、より巨額の紙幣を大増刷する必要性」も発生するのである。つまり、世界的な規模で「ハイパーインフレ」が発生する事態のことだが、私自身としては、この時期について、「2018年の9月」から、本格的な動きが始まる可能性を想定している。