本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.8.23

マネーのコスト

「マネー(通貨)」にも、当然のことながら、「製造コスト」や「流通コスト」が存在するが、このことは、「自動車」や「スマホ」などと同様に、「マネーという商品を生産し、移動させるためには、どれほどの費用が必要なのか?」ということである。具体的には、「日銀が一万円札を制作するために、約20円の費用が掛かる」と言われているが、この時に、「1万円-20円=9980円」が、いわゆる、「シニョリッジ(通貨発行益)」と呼ばれるものである。

また、「通貨」という「全ての商品を代表する商品」については、その「制作」、すなわち、「発行」については、「信用創造」という言葉が使われているように、「特殊なメカニズム」が存在していることも理解できるのである。具体的には、最初の「信用創造」が、前述の「中央銀行による紙幣の印刷」であり、また、「二段階目の信用創造」が、「民間銀行による預金の創造」である。

つまり、「預金」というのは、「民間銀行が、日銀券の信用を基にして創り出した金融商品」であり、この時に、「預金の総額」から「基になった日銀券」を差し引いた金額が、いわゆる「民間銀行が創り出した資金」である。そして、現在でも、ほとんど理解されていない点が、「市場による信用創造」であり、実際には、「デリバティブ(金融派生商品)」に代表されるように、「民間金融機関により、大量に創り出された金融商品」である。

また、この時に理解すべき点は、「民間銀行と市場が産み出した金融商品」は、ほとんどが「コンピューターマネー」という「単なる数字」が基本となっており、この時の「コスト」が、ほぼ「ゼロ」であるという事実である。つまり、「製造コスト」も「流通コスト」も、「単なる数字が、コンピューターネットワークの中を流れる」という仕組みにより、ほとんどかからない状況となっているのである。

その結果として、「2008年前後」に、「デリバティブの残高が、約8京円にまで大膨張した」という状況となったが、その後は、「この時に産み出されたコンピューターマネーを、国家と国民との間で奪い合っていた期間」とも考えられるのである。つまり、「量的緩和」という名のもとに、「中央銀行が、民間金融機関から資金を借りて、国債を買っていた」という構図のことである。しかし、これから注目すべき点は、「借りた資金は、必ず、返済しなければいけない」という厳然たる事実であり、実際に「中央銀行」が取れる手段は、「紙幣の大増刷」しか残されていないものと考えている。