本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.9.11

プラネタリー・バウンダリー

8月24日の日経新聞に、「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」という、スウェーデンの科学者であるロックストローム氏などが2009年に発表した概念が紹介されていた。具体的には、今から1万1700年前に、地球が「完新世」と呼ばれる「温暖で調和の取れた時代」に入ったものの、最近では、「人新世(ひとしんせい)」という「人類が、地球に大きな負担をかける時代」に移行している可能性があるとも述べられているのである。

そして、この時に、「気候変動」や「生物多様性の欠損」など、「地球にとっての安全域や程度を示す限界値」に関して「9つの地球システム」を定義されたが、「地球システムのいくつかは、既に人類の活動により危険な限界値を超えており、それ以外も差し迫った危険にある」とも説明されているのである。つまり、現在の「天災」については、「人災」が主な原因であり、しかも、このままの状態が継続すると、「地球上に、人類が住めなくなるような状況」も想定されているのである。

別の言葉では、「核戦争が勃発すると、世界全体が崩壊する」という点は、以前に申し上げたが、実際には、「地球の温暖化」や「海面の上昇」などのように、「静かなる地球破壊が、人々の知らないうちに進行していた状況」とも考えられるのである。そして、このことについては、「東洋学」の「人々の意識の歪みが、天災となって表れる」という認識を超えた状況のようにも思われるが、実際のところ、「約5000年の歴史を持つ東洋学」は、「1万1700年前から始まった完新世」には、及ばない状況とも言えるのである。

つまり、「地球環境」が危うくなり、「人類」が住めなくなるような状況になれば、「東洋学などの教え」、そして、「命よりも大切」といわれる「お金」なども、「まったく意味をなさなくなる事態」が到来するのである。別の言葉では、「元も子も無くなるような状況」のことでもあるが、実際のところ、「現代人は、軍事費をゼロにして、その資金を、環境問題に全力投球すべきではないか?」とも思われるのである。

しかし、実際には、依然として、先進各国で軍事費が増強されているが、私自身としては、「100年後の人類が、このような状況について、どのようなコメントをするのか?」が気に掛かる状況である。つまり、「子孫への負担」が意味することは、決して、「国家の借金」だけではなく、「地球環境の破壊こそが、最も重大な点ではないか?」という理解のことである。