本間宗究(本間裕)のコラム
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2018.10.2
9月相場を振り返って
「2018年の9月」は「時間とエネルギーの左右対称理論」により、歴史的な転換期になるものと考えていたが、この理由としては、「2008年9月」の「リーマン・ショック」を中心線にして「1998年9月」の「LTCM事件」を対比させることにより、「2018年9月」というタイミングが浮かび上がってきたからである。しかも、この裏側には、「オフバランス(簿外取引)による、デリバティブの大膨張」が隠されており、実際には、「1998年」に「約5000兆円」という規模だったものが、その後、「2008年前後」には「約8京円」という規模にまで大膨張したことが理解できるのである。
また、その後の「量的緩和(QE)」については、「デリバティブの大膨張」が産み出した「コンピューターマネー」を使い、「先進各国の中央銀行が、金利を中心にして金融市場の価格操作を行った状況」でもあったようだ。しかし、現在では、「市場は国家よりも大きい」という言葉が使われるとともに、「国家や中央銀行は、自分よりも大きな金融市場をコントロールし続けることは不可能である」という認識が増えているのである。
つまり、どこかの時点で、必ず、「金融抑圧」、あるいは、「金融のコントロール」が効かなくなり、本格的な「インフレ」が訪れる状況を想定しているが、現在では、「やはり、9月が正解だったのではないか?」とも感じている。具体的には、「世界的な金利上昇」の原因として、「コンピューターマネー」の枯渇が、裏側に存在する「デリバティブ」の問題を再燃させ始めた状況が想定できるからである。
別の言葉では、「超低金利状態を維持するためには、中央銀行のバランスシートを拡大し続けなければいけない」という運命を背負った「先進各国の中央銀行」が、現在、逆の動きを取り始めているのである。また、多くの人々は、「トランプ大統領」が仕掛けた「貿易戦争」に注目し、「景気の悪化が、株安を引き起こす」と理解しているようにも思われるが、実際には、「実体経済」よりも数倍の規模にまで膨れ上がった「マネー経済」が崩壊すると、まったく逆の動きになることも想定されるのである。
つまり、今回、最も注目すべき点は、「過去20年間、常に、世界的な金融政策の先頭を走ってきた日銀」が、「いつ、本格的な紙幣の大増刷を実施するのか?」ということである。そして、現在の「世界的な株安」については、この点に関する「催促相場」のようにも思われるが、実際のところ、「日銀」が、本格的な「インフレ政策」を実施した時には、急激な「円安、株高、そして、金利上昇」が始まるものと考えている。