本間宗究(本間裕)のコラム
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2018.10.12
通貨堕落のメカニズム
著名な経済学者である「ケインズ」は、「既存の通貨制度は、約50年に一度崩壊し、この要因となるのが、通貨の堕落である」と考えていたようだ。そして、この点については、私自身としても、たいへん共感するものがあるが、実際には、「1971年のニクソンショック」以降、「信用本位制」という「新たな通貨制度」が世界的に採用されたものと考えている。また、今回、気付かされたことは、「金融システムが常に膨張し、最後には、発散過程を迎える」という事実に関して、たいへん興味深い「メカニズム」が存在する可能性でもあった。
具体的には、「金融システム」を構成する要素として、「民間企業と個人」、「民間金融機関」、そして、「中央銀行」が存在するものと考えている。そして、「どのようにして通貨が創造されるのか?」という「信用創造のメカニズム」については、基本的に、「不良債権は、どのようにして発生し、拡大していくのか?」という「通貨の堕落メカニズム」と深い関連性が存在するものと想定されるのである。
ただし、今回の「信用本位制」においては、「民間金融機関」と「中央銀行」との間に、「オフバランスで取引されたデリバティブ」が存在するものと考えている。そして、この点に関して、「1990年の日本株と土地のバブル崩壊以降、どのようにして、不良債権が引き継がれていったのか?」を考えた時に、「より巨大な組織が、自己のバランスシートを膨張させながら、不良債権を引き受けていった構図」が見えてきたのである。
つまり、「民間企業と個人の不良債権」については、その後、「民間金融機関」が引き受けたものの、その後は、「1997年から1998年にかけて、世界的な信用収縮が発生した展開」となったのである。そして、その後に発生したのが、前述の「デリバティブのバブル」であり、前述のとおりに、「2008年前後に約8京円」という規模にまで膨らんだのだが、「2008年に発生したリーマン・ショック」については、「デリバティブの大膨張がピークを付けた」という事実に対する「警告」でもあったようだ。
また、この時に、もっと注目すべき問題は、その後、「先進各国の中央銀行が、自己のバランスシートを大膨張させながら、デリバティブのバブル崩壊を吸収しようとした事実」でもあったが、今後は、「8京円のデリバティブ」から発生する「不良債権」を吸収するために、「今後、どれほどの紙幣が増刷されるのか?」という「一点」に、世界的な金融問題が凝縮されたようにも感じている。