本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.10.22

文明の大転換時に発生する現象

長年、「村山節氏」が発見した「文明の法則」を研究してきたが、現在では、ようやく「大転換の後半部分」に差し掛かってきたものと感じている。つまり、「文明法則史学」では、「800年に一度、東西の文明が交代し、その時には、約100年間の混乱期が存在する」、また、「混乱期は、前半と後半に分かれる」とも説明されているが、「前半の特徴」としては、「大都市への人口流入」や「マネーの大膨張」、そして、「パンとサーカスの生活」などが指摘できるものと考えている。

つまり、「西暦375年」から始まったと言われる「ゲルマン民族の大移動」については、「前半が大都市への人口流入」という状況でもあったが、この点については、「1600年後の現代」において、「1970年前後から、多くの若者が都会に移り住み始めた状況」と同じ意味を持つものと想定されるのである。そして、問題は、「後半部分」であり、実際には、「都会に住みづらくなった人々が、地方や海外に移住する動き」が発生した事実のことだが、この理由としては、「財政赤字によるインフレ」が指摘されているのである。

そのために、私自身は、過去数十年間、「1600年前」と「現在」とを「比較」しながら、「これから、どのような時代が訪れるのか?」を考え続けてきたが、現在では、「共通点」と「相違点」の両方が浮かび上がってきたようにも感じている。具体的には、「共通点」が「財政赤字とインフレ」であり、このことは、「間もなく、金利やインフレ率の急騰が始まった時に、都会に住みづらくなる状況が発生する可能性」を意味しているものと考えている。

また、「相違点」としては、やはり、「技術面での進化」が挙げられるようだが、確かに、「過去1600年間に、さまざまな技術面での進化が起こり、人々の生活水準が向上した状況」だったことも見て取れるのである。しかも、今回は、「IT技術」や「AI(人工知能)」などの発展により、「新たな産業革命の始まり」までもが予見されているようだが、同時に注意すべき点としては、さまざまな「国際紛争」も指摘できるようである。

つまり、さまざまな国々で、「独裁者の暴走」とでも呼ぶべき状況が始まっているようにも感じられるが、この点について、気になることは、「1600年前のローマで、人々が専制君主制を望んだ」と解説されていることである。別の言葉では、最初は「権力者の登場」を望んだものの、その後、「国民」との「乖離」が発生した可能性のことだが、結果としては、「東ローマ帝国」への移行を促進させたようにも思われるのである。