本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.11.20

暦の5年サイクル

最近、「暦の5年サイクル」が気に掛かり、より深い研究を行ってきたが、実際には、「甲子」から「癸亥」までの「60か月(5年間)」のことである。より具体的には、「2018年11月」が「癸亥」という「5年サイクルの最終月」であり、「世の中の実情が、はっきり見えるとともに、爆発的な事件が発生しやすくなる」ということを意味している。つまり、「11月19日」に発生した「ゴーン日産会長の逮捕事件」が、この暦を象徴する、典型的な出来事だったが、同時に感じたことは、やはり、「これからの5年間が、激変の時期になる可能性」でもあった。

そのために、「1971年のニクソンショック」以降の、それぞれの「暦の5年サイクル」について、再度、調査し、その時々の「デリバティブ」と「金利」に関して、簡単な「表」を作成したところ、実に興味深い傾向があるようにも感じられた。つまり、「マネーの膨張」と「金利」に関する関係性のことだが、この時に、最も大きな意味を持っていたのが、いわゆる「量的緩和(QE)]と呼ばれる金融政策だったものと思われた。

より詳しく申し上げると、「金利」は「お金の値段」であり、当然のことながら、「お金の総量」が増えると「金利の低下」が発生することになる。つまり、「増えたものは、価格が下がる」という「天地自然の理」が働くわけだが、今回、「金利」に関して、最も重要な問題点は、「過去10年間の動き」だったものと思われるのである。具体的には、「2008年前後のGFC(大金融危機)」により、「デリバティブの膨張」がストップしたわけだが、「この時が、人類史上、最もマネーが大膨張した時だった」という事実のことである。

しかし、問題は、「その後も金利が低下し続けた」という事実でもあったが、ご存知のとおりに、「金利は、その後も低下を続け、2016年半ばに大底を付けた」という状況だったのである。そのために、この点には、長く悩まされたが、現時点の理解としては、この時に働いた力が、「デリバティブの収縮」が産み出す「金利の上昇圧力」であり、また、「先進各国の中央銀行により、大量の国債買い付け」が産み出した、きわめて大きな「金利の低下圧力」だった。

そして、「2018年までの5年間」は、この点に関する「転換期」であり、今後は、きわめて大きな「金利上昇の局面」に入るものと思われるが、今回の「ゴーン・ショック」は、「新旧の時代交代を告げる時の鐘」であり、また、「絶対権力者の暴走が終焉の時を迎えたことの象徴」のようにも思われた次第である。