本間宗究(本間裕)のコラム

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2018.11.20

時代の閉そく感が意味するもの

今年、つくづく感じさせられたことは、「時代の転換点」が差し迫っている可能性だったが、この理由としては、「時代の閉そく感」などが指摘できるものと感じている。具体的には、「トランプ大統領」による「既存の常識を無視した政策」や、「今までに考えられなかったような不祥事が、いろいろな分野で多発する事態」のように、「自分の無力感を痛切に感じさせられるような問題」が多発している状況のことである。

つまり、「文明法則史学」が教える「西洋から東洋の時代への移行」が発生しているために、「最終段階で、これほどまでの事件が発生するのか?」と驚かされ、また、「これから最も厳しい時を迎える可能性」を考慮しながら、身も心も引き締まる状態となっているのである。より詳しく申し上げると、現在、世界中の人々が「絶対的な価値観」を見出している「現代の通貨」に関して、「誰もが信じられないほどの事件」が発生する可能性が、きわめて高くなっているものと思われるために、身構えている状況のことである。

具体的には、今までに詳しく申し上げてきた「コンピューターマネー」、あるいは、「デジタル通貨」と呼ばれる「お金」のことだが、現在、不思議に感じることは、間もなく、「通貨の価値が無くなる可能性」が高まっているにもかかわらず、多くの人々が、「今まで以上に、現代通貨を大切にしている状況」である。つまり、「老後に必要な資金」などの記事やコメントが、数多く見受けられるが、この点については、「戦前の人々が、どのようにして生活してきたのか?」を考えれば、余計な心配のようにも感じられるのである。

別の言葉では、「人間は、窮地に陥ると、予想外の力を発揮するのではないか?」と感じているために、「取り越し苦労」は不必要だと思われるが、より重要な点は、「なぜ、現在、多くの人々が、将来の資金繰りを考えるようになったのか?」ということにあるようだ。つまり、前述の「時代の閉そく感」については、「将来に対する不安感」の「裏返し」であり、また、「変化への願望」を意味しているようにも感じられるが、結局は、「お金の力」が強くなりすぎた結果として、「お金が無くなる不安感」が強くなりすぎている状況とも想定されるようである。

そして、このような状況については、「明治維新の前夜」や「第二次世界大戦の終戦前夜」も似たような展開でもあったようだ。具体的には、「幕藩体制の崩壊」や「日本の敗戦」に怯えた人々が、表面上は「目先の安定」を望みながらも、「心の奥底」では、「新たな時代の到来」を待ち望んでいた心理状態だった可能性のことである。