本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2018.12.2

2018年を振り返って

「2018年」は「戊戌」という暦であり、「茂ったものが鉞(まさかり)で切り落とされる」という意味を持っていたが、実際に発生した出来事に関しては、「表面上の事件」と「水面下の変化」とで、大きな違いが存在したようにも感じている。具体的には、「北朝鮮の情勢」や「米国が仕掛けた貿易戦争」、あるいは、「世界的な異常気象」や「金利の上昇」などが、この年に発生した「主な出来事」だったが、一方で、私が想定する「大変化」については、「予兆がありながらも、まだ発生していない状況」となっているのである。

具体的には、「デリバティブのバブル崩壊」による「通貨制度」や「金融システム」の「世界的な崩壊」のことだが、実際には、「いろいろな事件が発生し、また、さまざまなコメントが出た」という状況でありながら、依然として、私が最も注目する「国債価格の暴落」が発生しなかったのである。そのために、「2018年」も、この点に関して、いろいろと試行錯誤を重ねることとなったが、実際に発生している変化としては、「BIS(国際決済銀行)」や「FRB」などが、頻繁に「金融システムの脆弱性」や「デリバティブのリスク」などに言及し始めた事実が指摘できるようである。

具体的には、「マクロプルーデンス」などの言葉が使われるとともに、「金利上昇時に、デリバティブがどのようなことになるのか?」が危惧され始めたものと感じている。そして、この点に関する「私自身の最大の気付き」は、「大恐慌は防げたが、新たなバブルを作った」という、「グリーンスパン元FRB議長」のコメントに関する「新たな理解」でもあった。つまり、「1971年のニクソンショック」以降、「古いバブル」を吸収するために、「新たな巨大なバブル」が作り続けられた状況のことだが、実際には、「1970年代の貴金属」、「1980年代の土地と株式」、そして、「1990年代から2000年代にかけてのデリバティブ」のことである。

ただし、「マネーの大膨張」は「2008年のリーマンショック」でピークを付けたものの、その後の「世界的な量的緩和(QE)」が、「中央銀行のバランスシート」に関する「新たなバブル」だったことにも気付かされたが、現在では、この点が、きわめて中途半端な状態となっているのである。つまり、「2018年9月」が、「中央銀行のバランスシート拡大」において、たいへん重要な「変化の時」となったようだが、実際には、「日銀」を中心にして、「当座預金を増やして、国債を買い付ける」という今までの方法に限界点が訪れ、今後は、大々的な「紙幣の増刷」を実施しない限り、「政府」や「中央銀行」の資金繰りが行き詰まる可能性が出てきたようにも思われるのである。