本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2018.12.10

面白きこともなき世を・・・

「高杉晋作の辞世句」は「面白きこともなき世を面白くすみなすものは心なりけり」というものであり、私自身も、今までは、この内容に賛同していた。具体的には、「世の中は、辛く苦しいことだらけであり、地獄のようなものではないか?」、そして、「このような状況を好転させるために、心が存在するのではないか?」というものである。しかし、最近、気付かされたことは、全く正反対の「世の中は、面白いことだらけではないか?」、そして、「辛く苦しく感じるのは、心のためではないか?」ということだった。

また、「面白い」という言葉については、以前に述べたとおりに、「面」は「顔」を意味し、「新たな発見などが得られた時に、顔が白くなる現象」、すなわち、「精神的な覚醒や成長が実現した時に、面が白くなるのではないか?」と理解している。しかし、現在のように、「西洋的な価値観」に支配された社会においては、「唯物論」という「目に見えるもの」が重要視され、また、その最終段階では、「精神的な成長」が無視されるとともに、「お金が、最も重要である」と考える人々が増えた状況となっているのである。

ただし、歴史が教えることは、「時代や価値観は、必ず変化する」ということであり、特に、現在は、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西洋から東洋への時代転換」が発生しているものと想定されるのである。そして、今後、最も重要視される価値観は、「唯心論」という「目に見えないもの」であり、実際のところ、「精神的な成長」を、多くの人が模索し始める可能性だと思われるのである。

つまり、今後は、「発想の転換」が起こるとともに、前の「高杉晋作の辞世句」が、次のように変化して理解されるものと考えているが、実際には、「面白きことばかりの世の中を辛くするのは心なりけり」というものである。別の言葉では、「人間の魂は、生かされている限り、常に成長し続ける」という認識に変化し、この時には、「全てが面白いこと」と理解される可能性のことである。

より具体的には、現在、「肉体面での強化」に励んでいる人々が、今後、「ヨガ」や「瞑想」などにより、「精神面での強化」に励む状況のことだが、このことは、「目に見えるもの」を代表する「マネー」ではなく、「目に見えないもの」を代表する「神」を追求する人々が急増する状況とも想定されるのである。しかも、今後は、「人工知能」の発展により、「経済学」を中心にして、「社会科学」が飛躍的な進化を見せるものと考えており、このことが、この動きに拍車をかける可能性も存在するのである。