本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.1.17

地銀波乱

日経新聞に掲載された「地銀波乱」という特集記事を読むと、「2018年の後半に、どのような変化が発生したのか?」が理解できるようである。つまり、「なぜ、2018年9月頃から、世界的な金融混乱が発生したのか?」、あるいは、「この結果として、日銀の黒田総裁に、どのような意識の変化が発生したのか?」という点などだが、実際には、「スルガ銀行が資金繰り破たんの危機に陥った」という記事の内容のとおりに、「日本の金融システムに、重大な問題が発生した可能性」が指摘できるものと考えている。

より具体的には、「日銀のバランスシート大膨張」に関して、大きな変化が発生したものと思われるが、実際には、私の想定どおりに、「当座預金を増やして、国債を買い増しする手法」に限界点が訪れた可能性である。別の言葉では、「民間の金融機関」から資金を借り入れて、「国債」を大量に買い付けてきた状況に関して、大きな「副作用」が発生したものと想定されるのである。

つまり、「1999年の2月」から始まった「日本のゼロ金利政策」は、一時的な中断を交えながらも、現在、「21年目」を迎えようとしているが、この結果として発生したことは、「スルガ銀行」を筆頭にして、「数多くの地銀が、利益を確保するために、無謀な貸し出しや投資などに奔走した」という状況だった。別の言葉では、「デリバティブの大膨張」が産み出した「コンピューターマネー」が存在する限り、「異常な超低金利状態」や「財政問題の先送り」が可能な状況だったが、「2018年9月」については、やはり、「コンピューターマネーの実質的な枯渇状態」が発生したものと想定されるのである。

より具体的に申し上げると、「2008年前後」にピークを付け、その後、減少を始めた「デリバティブ」に関して、今までは、「先進各国のバランスシート残高を増やす方法」により、本当の破綻を防ぐことが可能だったようだが、現在は、「日米の中央銀行」が、「残高の膨張」を制限し始めているのである。

そのために、これからの注目点は、「先進各国の中央銀行が、どのような行動を取るのか?」ということであり、実際には、「このままの状態を継続して、世界的な大恐慌状態に陥るのか?」、それとも、「紙幣の大増刷を実施して、デリバティブの損失をカバーするのか?」という選択である。つまり、今後は、「アメリカ」のみならず、世界全体において、「政府」や「中央銀行」の資金繰りに問題が出始めるものと思われるが、「その時に、中央銀行がどのような対応を取るのか?」ということである。