本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.3.23

金融商品の特性

1999年から、筑波大学名誉教授の「降旗節雄先生」が主宰する「ポスト資本主義研究会」に参加し、研究を重ねてきたが、先生が亡くなられるまでの10年間、最も大きな問題の一つとなったのが、「金融商品を、どのようにして理解するのか?」という点だった。つまり、「降旗先生」は、「金融商品は、本当の商品ではない」という考えを持っておられたが、私自身は、「金融商品も、商品としての特性を兼ね備えているために、商品として認識すべきである」という主張を貫き通したのである。

しかも、この時に重要な点は、「金融商品は、通貨と商品の両方の特性を兼ね備えている」という事実であり、実際に、「ビットコイン」については、「お金を出して購入する商品」でありながら、一方で、「ビットコインを売却して、自動車やスマホなどの実物商品の購入も可能である」という状況となっているのである。そのために、「この点を、どのようにして理解するのか?」という議論を、長く続けてきたが、残念ながら、「降旗先生」は、「志しの半ばで、あの世に旅立たれた」という状況でもあった。

ただし、「後世の者は畏るべし」という言葉のとおりに、「長生きすると、実際の世の中を確かめることが可能であり、自然に答えが見えてくるのではないか?」とも感じている。つまり、「後に生まれた人には、先人の意見を確かめる役割が存在する」とも考えているが、現時点では、やはり、「信用本位制」と「コンピューターマネー」に関する理解が、「金融商品の特性」を考える上で、最も重要なポイントだったようにも思われるのである。

より具体的には、「金融商品が、コンピューターと、そのネットワークが産み出した商品だった可能性」のことだが、実際には、「影も形も存在しない、単なる数字」が「根本的な通貨」となり、「さまざまな金融商品を生み出した状況」のことである。別の言葉では、過去数十年間に、「デリバティブ(金融派生商品)」の大膨張により、「マイナス金利」が世界的に発生した状況のことである。

このように、「通貨の基本」は「信用」であり、「世界に存在した大量の信用」が「金融商品」という「形」になったわけだが、今後の問題点は、「紙幣は、コンピューターネットワークの中を流れることができない」という厳然たる事実である。つまり、現在の「ベネズエラ」のような「ハイパーインフレ」の状況下では、「キャッシュレス社会」などは、実現不可能な状況とも思われるが、「先進各国」においても、間もなく、「資金繰りの行き詰まりにより、大量の紙幣が発行される事態」が予想される状況とも言えるのである。