本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.3.24

通貨制度の寿命

「人間」に寿命があるように、「通貨制度」にも寿命があり、この点に関して、ケインズは「約50年」という期間を考えていたようだ。つまり、「過去の歴史」を検証すると、「約50年」という期間で「既存の通貨制度が崩壊する状況」を想定していたようだが、実際には、「中央銀行が、世界的に創られたのは、約100年前にすぎない」というように、「より複雑な変遷」をたどった可能性があるようにも感じている。

そして、現在の通貨制度については、間違いなく、「1971年のニクソンショック」をキッカケにして、私が提唱する「信用本位制」が始まったものと考えているが、今回、気付かされたことは、「今までの約50年間」について、きわめて単純なメカニズムが働いていた可能性である。具体的には、「マネーの大膨張」について、「三段階の信用創造」、あるいは、「三段階のバブルが発生し、崩壊した状況」のことだが、実際には、「1970年代」に「貴金属のバブル」が発生し、崩壊した状況が見て取れるのである。

つまり、「信用創造の第一段階」は、「中央銀行」によるものであり、この時には、「金本位制」が終了し、「大量の紙幣」が創り出されたことも理解できるのである。そして、その次に発生したのが、「日本」を中心にした「土地と株式のバブル」だったが、この結果として起こった変化は、「第二段階の信用創造」であり、実際には、「民間銀行の預金」が大量に生み出された状況でもあった。

また、最後に発生した、人類史上最大のバブルは、やはり、「金融界の大量破壊兵器」と呼ばれた「デリバティブ(金融派生商品)」だったものと考えている。具体的には、「2008年前後」に「約8京円」という規模にまで膨れ上がったわけだが、現在では、「最後の貸し手」である「中央銀行」が、世界全体で「デリバティブのバブル崩壊」を処理しようとしている状況とも言えるのである。

つまり、「量的緩和(QE)」の「正体」、あるいは、「真相」は、単に、「デリバティブの後始末」にすぎなかったものと考えているが、この時の問題は、「中央銀行のバランスシート急拡大」であり、実際のところ、「日米欧の中央銀行が、約4倍の規模にまで膨らみながら、いまだに、デリバティブの4分の1程度しか処理しきれていない状況」だと考えている。その結果として、現在では、「最後の手段」である「紙幣の大増刷」しか残されていない状況とも言えるようだが、今後、想定されることは、やはり、約50年間も継続した「信用本位制」に「寿命」が訪れる可能性でもあるようだ。