本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.4.11

みずほの巨額損失

4月1日の日経新聞に、「みずほの巨額損失」の記事が掲載されたが、具体的には、「6800億円の巨額損失」を計上した理由として、「ファンディング(資金調達)コストと運用利回りの差がマイナスになっているものを、一気に処理する」と述べられている。つまり、現在では、「地銀」のみならず、「メガバンク」にまで、「マイナス金利」や「超低金利状態」の副作用が表面化し始めたものと思われるが、少しだけ想像力を働かせると、「次に、どのような問題が起こるのか?」は、一目瞭然の状況とも言えるようである。

具体的には、「超低金利状態」に関して、「誰がメリットを受け、また、どのようにして実施されてきたのか?」を考えると、実際には、「日本の国家は、マイナス金利により、国債の発行で利益を得ている状況」とも言えるのである。また、「日銀」については、現在、「約0.24%前後の国債投資による金利」を得ている状況でありながら、一方で、「資金の調達コスト」が「約0.1%」という低水準のために、現在では、「数千億円もの利益」が出せる状況となっている。

別の言葉では、「デリバティブの大膨張」を背景に、「国民」に対して「20年以上もの間、実質上のゼロ金利政策が継続できた」という理由により、現在でも、「歴史的に、きわめて異常な超低金利政策が実施可能な状況」となっているのである。つまり、典型的な「短期借り、長期貸し」という手法が採用されているものの、現在の「超低金利状態」が継続している間は、「日銀の利益」が確保可能な状況とも考えられるのである。

しかし、このような異常事態が、永続できるはずもなく、間もなく、大きな環境変化の発生が予想されるが、実際には、「日銀の資金調達コスト」が「0.3%」に上昇するだけで、「日銀の損失発生」が想定されるのである。つまり、現在は、「日銀の国債買い付け余力」が、ほとんどなくなった状況であり、また、「金利の上昇」が発生すると「国債価格が、一挙に暴落する可能性」が高い状況となっている。

そのために、今後は、「国家」や「日銀」の「資金繰り」に関して、重大な問題が発生するものと思われるが、実際には、「最後の貸し手」である「日銀」が、「急速に、資金難に陥る可能性」である。つまり、現在では、「紙幣の増刷」しか、残された手段が無くなりつつある状況とも思われるが、このことが、以前から危惧していた「1991年のソ連」のような状況であり、間もなく、「日本」においても、より巨大な規模で始まろうとしているものと考えられるようである。