本間宗究(本間裕)のコラム
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2019.6.19
マネー理論の盲点
経済学者の「マルクス」や「ケインズ」が興味を持っていたのは「貨幣論(マネー理論)」であり、私自身も、「貨幣の謎を解くことが、社会科学において重要な点である」と考えていた。しかし、最近、気づかされたことは、「マネー理論の盲点」とも言える「マネーの歴史的な役割」であり、実際には、「唯物論」と「唯心論」の「橋渡し」をする可能性だった。つまり、「西洋の時代」は「唯物論」が主な価値観となり、「自然科学」や「実体経済」が発展するわけだが、一方で、「東洋の時代」においては、「唯心論」が主な価値観となり、「社会科学」や「宗教」などの発展に繋がるものと想定されるのである。
そして、この時に重要な点は、「実体経済の成長」が、その後、「タイムラグ」をもって「マネー経済の成長」に繋がる事実であり、また、最後の段階で、「経済の金融化」という「マネーの大膨張」が発生する状況である。つまり、「実体経済」に関しては、「自然科学」が支配する領域のために、さまざまな「限界点」が存在するわけだが、一方で、「マネー経済」については、「人々の信用」という「心」や「社会科学」が支配する領域のために、往々にして、「実体経済を超えた状況」にまで大膨張が発生しやすくなるのである。
より具体的に申し上げると、「自然科学」においては、「約300年前に、ニュートンが、重力という画期的な発見をした」という状況であり、また、その後、「産業革命」や「資本主義」に繋がったことも見て取れるのである。そして、その後の展開としては、「二つの世界大戦を経て、人類史上、最大のマネーの大膨張が発生した状況」、より具体的には、私が提唱する「信用本位制」により「デリバティブが、約8京円の規模にまで膨らんだ」という状況でもあったのである。
つまり、「人類の欲望」が、未曽有の規模にまで「世界のマネー」を大膨張させ、空前の「バブル」を発生させたわけだが、当然のことながら、「どのようなバブルも、必ず弾ける運命にある」ということが「過去の歴史」が教えることである。そして、今回も、この教訓が、大きな意味を持つものと思われるが、同時に感じることは、「社会科学の基本」が、実は、「心」であり、「心の謎」を解くことが最も重要な点である可能性だった。
別の言葉では、今回の「マネーの大膨張」が、実は、「心の謎」を解明するために発生した可能性であり、実際には、「マネー理論」に、「自然科学」と「社会科学」の両方の性質が存在し、「西洋」と「東洋」の「時代の橋渡し」の役割を果たす可能性であるようにも感じている。