本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.6.25

我思う、ゆえに我あり

1999年から始まった「日本の実質的なゼロ金利政策」は、現在、21年目を迎えているが、この原因については、400年ほど前に誕生した「二つの思想」にまで行きつくものと考えている。具体的には、「時は金なり」であり、また、「デカルト」の「我思う、ゆえに我あり」のことだが、不思議なことは、「400年」という「時間の触媒効果」により、現在では、世界中の人々が、「お金が全てであり、また、自分さえ良ければいい」という理解や意識に変化した状況のようにも感じられるのである。

そして、この理由として、哲学者の「梅原猛氏」は、「西洋哲学の問題点」を指摘されているが、実際には、「唯物論」と「西洋のヒューマニズム」が、極限にまで行き着いた結果として、現在のような「マネーの大膨張」、そして、「心の闇」が形成された状況のことである。つまり、「東洋の唯心論」が忘れ去られ、また、「白人至上主義」が行き過ぎた結果として、現在、「物質を代表するマネー(お金)」が大膨張し、また、「西洋を中心にした個人主義」、あるいは、「ポピュリズム」が世界的に蔓延している可能性であり、このことが「トランプ大統領などを支持する理由」のようにも思われるのである。

別の言葉では、「文明法則史学」が教えるとおりに、「西暦2000年前後に、西洋の時代がピークを迎えた状況」のことだが、興味深い点は、「西暦1950年頃から2050年頃」までの「約100年間」が、「西洋から東洋の時代への移行期である」という点である。そして、今後は、「まったく違った価値観が世界を支配する状況」が、過去の歴史から推測されることとも考えられるのである。

つまり、現在も、「1600年前」ときわめて酷似した状況となっているが、前回と今回の「最大の相違点」は、「科学技術文明の発達」、具体的には、「ニュートンによる万有引力の発見」以降「驚異的な勢いで、科学技術が発展した状況」だと考えている。しかも、今後は、「人工知能の進化」までもが想定されているが、この時に必要不可欠な条件は、「東洋学、あるいは、唯心論の発展」であり、実際には、「心の謎」を解くことにより、新たな「思想」が産み出されることだと考えている。

具体的には、「梅原氏」が主張するとおりに、「西洋の科学技術文明」と「東洋の精神文明」が融合した「新たな文明」が、日本を中心にして生み出される可能性のことだが、この点に関して、重要な役割を果たすのは、やはり、「第二次世界大戦後の日本人」が経験したような「意識的な覚醒」だと考えている。