本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.8.22

20年間を振り返って

日本証券新聞のコラム連載は、「1999年の9月」から始まり、今年の9月で「21年目」を迎える運びとなった。そのために、今回は、今までの20年間を振り返りながら、「どのような気付きが得られたのか?」、そして、「どのような反省があるのか?」を述べてみたい。具体的には、数多くの「気付き」が得られたものの、一方で、「何故、このような単純なことに気付かなかったのか?」という「想い」を抱いているわけだが、実際には、次の四点が、最も印象に残っていることである。

1:デリバティブの大膨張が予測できなかった

2:三段階の信用創造について、理論上は理解できたものの実戦での応用が不完全だった

3:自然科学と社会科学に対する理解が不十分だった

4:心の謎に関する理解が不十分だった

つまり、「お金の謎」や「時間のサイクル」については、私独自の理論により、ほとんど現状説明が可能なものと考えているが、この点に関して、最も難しかった点が、「簿外取引で大膨張したデリバティブ」に対する分析であり、また、「人々の心理状態」でもあった。別の言葉では、現在、ようやく、「デリバティブ」と「中央銀行」との関係性が理解できたものと感じているが、このキッカケとなったのは、「自然科学」と「社会科学」との関係性に気付かされたことだったのである。

具体的には、「足掛け21年」に及んだ「日本の実質的なゼロ金利」に対して、いろいろと想いを巡らしていた時に浮かんだことが、「ニュートン以降の自然科学の発展」だった。そして、このことに、「梅原猛氏」が主張する「生命の思想」と「心の思想」を組み合わせると、実に単純に、すべての説明が可能なようにも感じたが、残念ながら、現在でも、いまだに解明できていないのが、「心の謎」とも言えるのである。

そのために、私自身の「心の仮説」を使いながら、現在、さまざまな検証を行っているが、この点に関して気になることは、やはり、たいへん近い時期に予想される「ゼロ金利の終焉」であり、実際には、「世界の人々に、どのような影響を与えるのか?」ということである。そして、この点については、「村山節氏」の「文明法則史学」でしか説明が付かないものと考えているが、実際には、「既存の経済学では、まったく太刀打ちできないような大混乱の発生」が想定されるわけだが、これから必要とされることは、「けっして、既存の常識にしがみつかない態度」だと感じている。