本間宗究(本間裕)のコラム
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2019.8.21
デリバティブと中央銀行
現在、世界の関心は、「米中の貿易戦争」などがもたらす「実体経済の悪化」、そして、「デフレ」に向かっているようだが、この時の注目点は、やはり、「国債バブルの動向」とも言えるようである。つまり、現在、世界の「国債価格」は、2年前の「ビットコイン」を彷彿とさせるような状況となっており、その結果として、「これから、どのようなことが起こるのか?」を憂慮する人が増え始めているのである。
より詳しく申し上げると、過去1年間は、「トランプ大統領」が仕掛けた「米中の貿易戦争」により、「デリバティブのバブル崩壊」や「先進各国の財政問題」などが、実質的に、「先送りされた状況」だったものと想定されるのである。つまり、「国債価格の急騰(金利は低下)」により、「国家は、マイナス金利などにより、財政問題に悩まされなかった」という状況でもあったが、問題は、やはり、「BIS(国際決済銀行)」が指摘する「時間的なトレードオフ」とも考えられるのである。
具体的には、「問題を先送りした分だけ、その反動が、より大きくなる状況」のことだが、実際には、「国債のバブルが崩壊した時に、どのような影響が発生するのか?」ということである。つまり、「1991年のソ連」のように「国債の買い手」が消滅した時に、「国家の資金繰りが、どのような状況になるのか?」ということだが、現在の世界は、「紙幣の増刷でしか、資金繰りが賄えない状況」とも想定されるのである。
そして、このことが、私が想定する「金融界の白血病」でもあるが、この点を具体的な数字で考えると、実に危惧すべき状況が浮かび上がってくるのである。つまり、「2008年前後のピーク時に、約8京円にまで膨れ上がったデリバティブ」は、その後、「約6京円」にまで減少したわけだが、この時に発生した「不良債権」は、「想定元本の一割程度」である「約2000兆円」という計算になり、「中央銀行のバランスシート膨張」により説明が付く状況とも言えるのである。
そのために、今後は、「約6京円」の「一割」に相当する「約6000兆円の不良債権」が、これから、急速に発生するものと考えているが、この時に、「最後の貸し手」である中央銀行は「どのような対策を取れるのか?」が、今後の、最も大きな注目点とも言えるのである。そして、結果としては、前述のとおりに、「紙幣の増刷」を実施するものと考えているが、この点に関して気になるのが「タイミング」であり、実際には、「9月から10月になる可能性」が高くなっているようにも感じられるのである。