本間宗究(本間裕)のコラム

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2019.11.12

バブルの非対称性

最近では、「劣化した日本人」や「日本の地盤沈下」という言葉が頻繁に聞かれる状況となっているようだが、この点に関して重要なことは、「バブルの非対称性」を理解することだと考えている。具体的には、過去に発生した「いろいろなバブル」からも明らかなように、「バブルが発生し、成長する過程では、ほとんどの人がバブルの存在に気付かない」という状況でありながら、一方で、「バブルが崩壊した途端に、バブルに参加していなかった人までもが、バブルの崩壊に騒ぎ出す状況」のことである。

つまり、「1980年代に発生した日本の土地と株式のバブル」のように、「バブルのピーク」までは積極的にバブルを推進するものの、「バブルの崩壊」とともに非難を始める状況のことである。別の言葉では、「バブルの崩壊」により、世の中の過ちや異常さに気付く状況のことでもあるが、実際には、「バブルのピークまでは狂乱状態」となるものの、「バブル崩壊後は反省を繰り返す状況」のことである。

このように、「バブルのピーク時」に発生する現象は、「波高きは天底の兆し」という相場の格言のとおりに「価格が上がったり下がったりする状況」であり、このことは、「人々の意識変動」を表しているものと考えている。つまり、「気付き」や「覚醒」が「バブルの崩壊」に伴って発生する現象のことだが、冒頭の「劣化」や「地盤沈下」は、すでに、「日本人が覚醒を始めた可能性」を表しているようにも感じられるのである。

別の言葉では、私が想定する「人類史上、最大規模の富のバブル」が発生したことに、ようやく、人々が気付き始めた可能性のことだが、実際には、「21年目に突入した日本のゼロ金利」や「世界的なマイナス金利」、そして、「世界的なキャッシュレスのブーム」は、典型的な「バブルの症状」だったものと考えている。しかし、一方で、現代人は、「自分が、ゆで上がったカエルの状態である」ということなどは、まったく考えもせず、「悪化する地球環境よりも、自分の生活やお金が大切である」という理解のもとに、日々刻々と変化する「世界の金融情勢」を無視している状況だったものと考えられるのである。

つまり、現在では、「数多くの自然災害」に悩まされている状況でありながら、この理由の一つが、「異常な金融政策」であることを無視している状況とも言えるようだが、実際には、「BIS(国際決済銀行)」に続き、「IMF(国際通貨基金)」までもが、「金融政策の限界点」に言及し始めており、このことは、明らかに、「中央銀行に打つ手が無くなった状況」を意味しているものと考えられるようである。