本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.1.24
前1200年のカタストロフ
先日、NHKの番組で「アイアンロード(鉄の道)」が紹介されていた。「シルクロード(絹の道)」よりも北部に位置した土地に、はるか昔、「鉄の普及した道筋」が存在したのである。そして、この時に驚かされたことが、「ヒッタイト帝国」の存在と滅亡の時期だったが、具体的には、「紀元前16世紀頃から、鉄の技術で栄えたヒッタイト帝国が、前1200年頃に、突然、消滅した」という事実である。
つまり、「巨大な物質文明が、なぜ、突然に滅んだのか?」という点に、大きな興味を抱いたわけだが、実際には、「文明法則史学」が教えるとおりに、「前1200年」という時期が、「現在」や「1600年前の西暦400年前後」と同様に、「西洋の時代」が終焉の時期を迎えていたものと考えられるのである。別の言葉では、今まで、「1600年ほど前の西ローマ帝国の滅亡」と「現在」との比較だけに終始していたが、今回は、「もうひとつ前の西洋文明の終焉」が検証できたものと感じられたのである。
そして、この点に「経済発展のメカニズム」を合わせると、最初は、「実体経済の成長」が「マネー経済の成長」を生み出すものの、最後の段階では、「マネー経済が実体経済を上回る」という「本末転倒の状態」となり、その結果として、「通貨の堕落」がもたらす「破壊の力」が働いたものと想定されるのである。つまり、現在のような「マネーの大膨張」そして、「金融混乱」が、「1600年前」、そして、「3200年前」にも発生していたものと想定されるが、私自身としては、「歴史が繰り返される状況に、改めて、驚かされた」ということが、今回の「アイアンロード」で感じたことだった。
別の言葉では、同様の「カタストロフ(社会的大変動)」が、間もなく、世界的に再発する可能性が、より一層、危惧されるわけだが、この点については、現在、すべての要因が整った段階とも言えるようである。つまり、「行き過ぎた金融資本主義」という状況でありながら、根本に存在するはずの「信用」については、「政治家や官僚までもが、全く信用できない状況」となっており、また、世界中の人々は、「コンピューターマネー」と「仮想現実」の世界で「パンとサーカスの生活」を送っているのである。
そして、「変化は、ある日、突然に訪れる」ということが、過去の歴史が教えることでもあるが、今までの推移を振り返ると、現在では、「数多くの矛盾」が積み重なった悔過として、「政治家」や「官僚」も含めて、「世界中の人々」が、「心の底では、大転換や新たな時代の到来を願い始めたのではないか?」とも感じている。