本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.2.2

ヤスパースの枢軸時代

最近の問題点は、ほとんどが、「技術科学の進歩」に対する「精神面での発展の遅れ」に由来するものと思われるが、このことは、まさに、「ドラえもん」と「のび太」の関係性とも言えるようである。つまり、「ドラえもんの四次元ポケットから、いろいろな新商品が出るものの、のび太が正しく使いこなせない状況」のことだが、今回、驚かされたことは、「枢軸時代」という言葉により、このような状況が、数十年前に説明されていた事実だった。

 具体的には、ドイツの哲学者であり、精神科医の「カール・ヤスパース(1883年-1969年)」が、今から半世紀以上も前に述べていたことだったのである。しかも、この時に重要な点は、今回が「第二の枢軸時代」であり、「第一の枢軸時代」については、今から「約2500年前」に発生していたという事実である。

つまり、当時は、「農業革命」がもたらした「物質文明の長足的な進歩」が、その後、「精神文明の急速な発展に繋がった」とも説明されているが、現在は、「工業革命」がもたらした「物質文明の長足的な進歩」が、間もなく、「精神文明の急速な発展」につながる可能性について言及しているのである。具体的には、「文明法則史学」が教えるとおりに、「富のバブル」が崩壊したときから、新たな「東洋の時代」、すなわち、「今までよりも、はるかに進化した精神文明の時代」が到来する可能性のことである。

より具体的には、「人類は、絶えざる進化と発展の過程にある」という言葉のとおりに、「約6000年前に、お金が発明され、その後は、約4000年前に、農業と文字が発明された」というような状況のことである。つまり、「第一の枢軸時代」においては、農業の発展がもたらした「時間的な余裕」が、さまざまな「精神文明の発達」に繋がったものと思われるが、現在の問題点としては、いまだに、「お金の謎」が解けず、結果として、「お金」だけに囚われている状況も指摘できるようである。

つまり、「精神面での発展の遅れ」の実情のことだが、実際には、「影も形も存在しない現代の通貨に惑わされている状況」とも言えるようである。しかし、これから想定される変化は、やはり、「神から紙への移行」であり、実際には、「現代の神様」となった「デジタル通貨」が、わずかな金利の上昇で、一斉に、「紙幣」に交換される状況のことである。このように、現在の「金融システム」は、これほどの大問題を含んでいる状況でもあるが、この点に関する「救い」は、その後、「心の謎」が解けることにより、「全く新たな、そして、より良い時代が始まる可能性」だと感じている。