本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.3.13

政策転換の催促相場

今回の「コロナ・ショック」をキッカケとした「世界的な株価の急落」については、基本的に、「世界の中央銀行に対する政策転換の催促相場」だと考えている。つまり、「昨年の9月17日」に発生した「米国翌日物金利の急騰」に対して、「パウエルFRB議長」の対応が不十分だったために、「1999年」と「フラクタル(相似形)」の関係にある「2020年3月」に、大幅な株価の下落が発生した可能性である。

別の言葉では、「2008年のリーマン・ショック」から始まった「量的緩和(QE)」に関して、「根本的な見直し」が必要とされていながらも、「小手先の対応」で誤魔化されたために、私が想定する以上の「株価の下げ」となったようにも感じられるのである。つまり、「2008年」から「2019年9月17日」までは、「民間の金融機関が保有していた約8京円のデリバティブ」に関して、「中央銀行のバランスシート残高」により「約2京円」が処理された状況だったものと考えている。

より具体的には、「中央銀行が、民間部門から資金を借り入れる方法」により、今までは、「約2京円の想定元本」に関して、「約1割の2000兆円前後の不良債権」が解消されたものと思われるのである。別の言葉では、「デリバティブという金融商品が産み出したデジタル通貨」を利用することにより、今までは、「中央銀行が、民間資金を借り入れることにより、不良債権の償却が可能だった」という状況だったが、「昨年の9月17日」に発生した「金利の急騰」は、「民間部門の資金ひっ迫により、従来の手法である、民間金融機関からの借り入れが不可能となった状況」を表していたのである。

つまり、現在では、「政策金利の下げ」ではなく、「紙幣の増刷」による「中央銀行におけるバランスシート残高の増加」が必要とされていたわけだが、実際には、この方法が無視され、株価の下落につながったものと想定されるのである。その結果として、最近では、徐々に、「紙幣の増刷」が実施され始めているが、現在、必要とされている金額は、「約6京円の約1割」である「約6000兆円」だと考えている。

そして、今後の展開としては、「1999年」から「現在」までの「約23年間」が、今後、「2020年3月」からの「約23か月間」で繰り返される状況を想定している。また、この時の注意点は、「今までの23年間が、デリバティブの大膨張による超低金利状態」だったものの、今後は、「紙幣の大増刷による、超インフレ状態となる可能性」、すなわち、「大量の資金が、一挙に、実物資産に流れる状況」だと考えている。