本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.3.7

経済理論の次元的な上昇

「市井の経済学者」といわれる「高橋亀吉氏」は、戦後、公職追放令に遭遇し、糊口をしのぐために、株式評論家として、一時、生活を送ったそうである。そして、この時に出会ったのが、立花証券の創業者である「石井久氏」であり、両者は、協力し合って、株式投資で大成功を収めた状況でもあったようである。また、この間のいきさつについては、「私の実践経済学」という著書に詳しく書かれているが、私自身としては、この時に、経済理論の時限的な上昇が始まったものと感じている。

  つまり、「なぜ、高橋亀吉氏が、株式評論家として成功したのか?」については、「ほとんどの専門家が、旧来のように、実体経済だけを研究している時に、マネー経済の分析を行ったために、たいへん簡単に予測が可能だった」と述べられているのである。また、「経済分析」を行う場合に、「病気の原因」と同様に、「現時点の症状だけを見るのではなく、過去の生活習慣などを見ることが重要である」とも述べられているが、このことは、現在と同様に、「三次元の経済学」、あるいは、「地動説の経済学」が、すでに始まっていた状況のようにも感じている。

より詳しく申し上げると、私自身も、高橋亀吉氏の手法に、大きな影響を受け、「マネー経済の研究」、そして、「歴史的、かつ、具体的な数字による分析」を行ったことにより、「現在、どのような状況となっているのか?」が、たいへん明瞭に見えている状態とも感じられるからである。別の言葉では、「戦後の情勢」と同様に、現在は、「大膨張したマネー経済を、歴史的な観点から理解しない限り、実情が見えない状態」とも思われるが、実際には、このことが、「四次元の経済学」のようにも感じられるのである。

そして、この点に関して重要な事実は、「ケプラーからニュートンへ」という言葉のとおりに、「300年ほど前に、自然科学の世界で、次元の上昇が終了していた可能性」とも想定されるのである。つまり、現在の「自然科学」については、すでに、「三次元から四次元への移行」が終了している状況下で、「社会科学」という「人間の行動」を分析する学問においては、依然として、「三次元」、しかも、「天動説」の状態となっているものと考えられるのである。

その結果として、地球環境を破壊するほどの「技術開発」と「マネー経済の大膨張」が発生したものと思われるが、やはり、現在、必要とされることは、「高橋亀吉氏」の実勢経済学の再興とも言えるようである。