本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.3.20

信用創造と信用収縮、そして、信用崩壊

21世紀を迎えた現在でも、「お金の謎を解いた人は存在しない」といわれている。そのために、私自身は、30年以上も前から、この問題に取り組んできたが、基本的には、「お金」と「信用」、そして、「実体経済」と「マネー経済」との関係性で、すべての説明が可能なようにも感じている。つまり、私自身にとって、この問題は、すでに解決済みだと考えていたが、今回の「コロナ・ショック」がもたらした大混乱を見ると、現在、「信用創造」や「信用収縮」の意味が誤って使われているようにも感じられたのである。

そのために、今回は、「お金の謎」について、基本的なポイントを整理させていただくが、実際には、「お金(マネー)は、信用の裏返し」であり、「目に見えない信用」が「目に見えるマネー」に転換されることが、本当の「マネーの創造」、あるいは、「お金が膨張するメカニズム」とも言えるのである。しかし、一方で、この時には、水面下で、「信用の量」が減少していることも理解できるわけだが、この点に関して、私自身が、最も注目していた点は、「1971年のニクソンショック」以降、「通貨と実物資産が切り離される」という「人類史上、初めての出来事」だった。

つまり、その後の「約50年間の信用本位制」において、人類史上、最大規模の「マネー大膨張」が発生したわけだが、この時の注目点は、「古いマネーが、新しいマネーに取って代わられた事実」とも思われるのである。別の言葉では、従来の「信用創造」という言葉自体に、基本的な「誤り」が存在した可能性のことだが、実際には、「根底に存在する信用が減少している状況」を表しているために、本来は、「マネーの創造、あるいは、膨張」とでも表現すべき状況だったようにも感じられるのである。

このように、現在の「信用創造」と「信用収縮」という言葉については、本来、「マネーの創造」、そして、「マネーの減少」というような言葉に変更される必要性を感じているが、この時に、大きな問題となるのが、「マネーの形態変化」とも言えるのである。具体的には、「金貨本位制」の時代に発生した「中央銀行マネー」、そして、「信用本位制」に移行するまでの時代に発生した「民間銀行マネー」、また、「現在」までの「市場マネー」のことである。

別の言葉では、「金融システム」を維持するためには、常に、「新たな商品」、そして、「新たなマネー」を発明し続ける必要性が存在するわけだが、現在の混迷は、この方法が、完全に行き詰ったことに、本当の原因が存在するものと感じている。