本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.3.26

量的緩和の正体

「2001年」から始まった「日本の量的緩和」について、私自身は、当初から、「金融緩和ではなく、金融引き締めである」と言い続けてきた。つまり、「準備預金を当座預金に名称変更し、日銀が市中から資金を吸い上げる方法」については、典型的な「金融引き締め」であり、その結果として、「過去20年間、日本のGDPが、ほとんど成長しなかった原因」とも想定されるのである。

別の言葉では、「供給された資金が日銀に吸い上げられ、結果として、国債の買い付け、そして、超低金利の維持に使われた状況」だったために、「日本経済の国際的な地位が、急激に低下した」という状況だったのである。しかも、このような「単純な事実」に関して、「現在でも、私だけが主張する状況」となっているが、興味深い点は、すでに始まった「金融界の白血病」に関して、「今後、専門家の人々が、どのようなコメントをするのか?」だと考えている。

つまり、「コロナ・ショック」が引き起こした「実体経済のマヒ状態」、そして、「資金面でのひっ迫状態」が、今後、「量的緩和の正体」を明らかにする可能性のことだが、この点に関して重要なポイントは、「民間企業や個人が、いつでも、民間金融機関から、大量の資金を引き出せる状況」であり、また、「民間の金融機関も、日銀から当座預金の引き出しが可能な状況」ということである。

つまり、「日銀」にとっては、今まで、「民間の金融機関から、約390兆円もの資金を借り入れて、国債を買い付け、超低金利状態を維持してきた状況」だったが、今後は、この点に関して、大きな変化が発生するものと考えられるのである。具体的には、「当座預金の減少」、すなわち、「資金の返却」に際して、「国債を売却するのか、それとも、紙幣を増刷するのか?」という「二者択一」を迫られる状況のことである。

そして、結果としては、「どちらの場合にも、金利の上昇が発生する状況」を考えているが、より大きな注目点は、「コンピューターネット枠の中を、紙幣が流れることができない」という「厳然たる事実」である。別の言葉では、私が想定する「金融界の白血病」が全貌を表す状況でもあるが、この点に関して、最も注目すべき点は、「今後、大量の資金が市中に還流したときに、人々が、その資金をどのように使うのか?」ということであり、実際には、「戦後の日本人」のように「換物運動」に走るのか、それとも、現在の状況のように、「預金を、そのまま保持するのか?」ということである。