本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.4.6
ハイパーインフレ的な大恐慌
海外では、最近、「ハイパーインフレ的な大恐慌」という、意味不明の言葉が散見される状況となっているが、このことは、「今後、ハイパーインフレと大恐慌が同時に発生する」という理解のことである。そして、この言葉は、「1970年代に使われたスタグフレーション」と同様に、「将来、全面的に否定される意見」とも思われるが、理由としては、最近の「ローラーコースター相場」の結果として、現在、世界中の人々に、「上がれば強気、下がれば弱気」という雰囲気が蔓延しているようにも感じられるからである。
つまり、いまだに、「大恐慌の真因」が解明されず、また、「お金の謎」も解けていないために、現在でも、「株価の急落」を経験するたびに「大恐慌の発生」という「誤った意見」が頻発する状況となっているのである。別の言葉では、「収縮する実体経済」や「株価の下落」に怯える人々が、「1929年の大恐慌が再来するのではないか?」と考えているようだが、以前から申し上げているように、「民間銀行の世界的な連鎖倒産」が引き起こした「大恐慌」は、「人類史上、唯一の大事件」だったことも見て取れるのである。
より具体的には、「1923年」に発生した「ドイツのハイパーインフレ」に怯えた人々が、「誤った金融引き締め」を実施した結果として、「株価の暴落」につながる「大恐慌」が、1929年に発生したわけだが、現在では、反対に、「誤った金融緩和」により「人類史上初めての、世界的なハイパーインフレが発生寸前の状況」とも考えられるのである。しかも、最近では、「世界各国の中央銀行が、急速に、紙幣の増刷を実施し始めている状況」となっており、「このような状況下では、決して、大恐慌は発生しない」ということが、「マネー理論」が教えることとも言えるのである。
つまり、「国債価格の下落」や「金利の上昇」を阻止しようとする勢力が、依然として、「国債の買い、株式の売り」という「プログラム売買」を実施しており、この時に、「大恐慌の再来」という言葉が利用されているものと感じられるのである。別の言葉では、すでに「ハイパーインフレ」が発生し始めていながらも、「大恐慌」が危惧されている状態のことだが、この時に重要な点は、「誰が、今後、国債を買うのか?」を考えることである。
より具体的には、「過去のハイパーインフレ」のすべてが、「紙幣の増刷で、借金を棒引きにする政策」により引き起こされてきた歴史を再認識することであり、また、「1991年のソ連」をはじめとして、「ハイパーインフレの初期段階では、株価が暴騰する状況」を理解することである。