本間宗究(本間裕)のコラム

* 直近のコラムは、こちら

2020.5.5

コロナ・ショックの教訓

今回の「コロナ・ショック」については、「短期間のうちに、さまざまな教訓を我々に与えてくれたのではないか?」と考えているが、その一つが、「嘘や誤魔化しは、国民に対して、甚大な被害を与える結果となることが多い」という「厳然たる事実」である。また、「自分の失敗を反省し、他者の成功から、素直に、かつ、謙虚に学ぶ態度の必要性」でもあるが、人間には、「松下幸之助氏」が指摘するように、「成功例が三度続くと、失敗を忘れる傾向、あるいは、思い上がってしまいがちな傾向」が存在するのである。

つまり、「明治維新以降の日本人」は、「日清、日露、そして、第一次世界大戦の勝利」により、「日本は神の国であるから、決して、戦争に負けることがない」という「誤った神話」に支配され、敗戦に繋がったのである。そして、現在では、「戦後の経済成長」、そして、「数多くの世界的なインフレや混乱を切り抜けてきた事実」により、「戦後の大インフレが、日本で再燃することがない」というような誤解が存在する状況のようにも感じている。

より具体的には、「過去20年余りの超低金利状態」を経験したことにより、「金利やインフレ率の上昇は、決して、有り得ないことである」というような神話が出来上がった状況のようにも思われるのである。別の言葉では、「お金を使えば、コロナ・ショックだけではなく、すべての問題が解決可能である」というような「誤った思想」が出来上がった可能性のことである。

つまり、今までは、「大量のコンピューターマネーを使い、金利を筆頭にして、さまざまな市場価格が操作されてきた時代」だったが、今回の「コロナ・ショック」により、「すべての真実が、白日の下にさらされる時代」が始まったものと感じている。あるいは、「抽象論や観念論が通用しない時代」であり、「具体論や現場の理論を重要視しないときには、自分の命さえもが脅かされる時代」のようにも思われるのである。

しかも、今回の「コロナ・ショック」については、これから想定される「世界的な金融大混乱」、すなわち、「未曽有の規模での大インフレ」に対して、「予行演習的な役割」を果たしたものと考えているが、実際のところ、「金融システムが破たんした場合には、年金や公務員の給料などが支払い不能となる状況」も想定されるのである。つまり、「金融界の白血病」により「現代の神様が紙切れに変化する事態」のことだが、この点については、すでに、「時間切れの状態」となっており、いつ、どのような大事件が発生しても不思議ではない段階に差し掛かったものと感じている。