本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.5.23
世界的なインフレの大津波
現在の世界情勢としては、「アルゼンチンのデフォルト(債務不履行)」や「イランの株価急騰」からも明らかなように、「体力の弱い国々から、順番に、インフレ(通貨価値の下落)が始まっている状況」とも考えている。そして、今後は、最も体力の強い国々にまで、この動きが波及していくものと思われるが、この点に関して、現在、注目すべき事実は、「主要国間の通貨スワップ」とも言えるようである。
具体的には、「世界の主要国が、通貨スワップという形で資金の融通をしている状況」のことだが、実際のところ、「日銀」は、現在、「約25兆円」もの資金を、海外の中央銀行から借り入れているものと想定されるのである。つまり、「海外の中央銀行から資金を借り入れて、国債を買い付けることにより、超低金利状態を維持している状況」のことだが、このことは、「日本に、大量のお金が存在する」と信じ込んでいる人々には、全く、実感が伴わない事実とも言えるようである。
別の言葉では、「現在の日本」が、「ありとあらゆるところから資金を借り入れて、ようやく、金融システムが成り立っている状況」であり、今後は、「金利を上げなければ、貸してくれる人が存在しなくなるような段階」に差し掛かっている事実のことである。つまり、「1991年のソ連」と同様に、「銀行などからの借り入れができなくなった個人が、高利貸しに頼り始めるような状況」とも言えるのである。
別の言葉では、すでに、「インフレの大津波」が見え始めた段階、すなわち、「数か月後にも、世界全体を大インフレが襲い始める状況」のようにも感じているが、残念ながら、現在の日本では、いまだに、「デフレ」という言葉が独り歩きしている状況とも言えるようである。つまり、「実体経済の落ち込み」だけに目を奪われ、「マネー経済の実情」は、ほとんど注目されていない状況でもあるが、興味深い点は、すでに、「貴金属の実物が、手に入りにくくなった状況」だと考えている。
その結果として、今後は、「終戦前の日本人」と同様に、「実情に気づいた人から、徐々に、国債や預金から実物資産などへ、資金の移動が実施される展開」を想定しているが、当時の実情としては、「敗戦時においても、ほとんどの人々が、預金や国債などを、後生大事に抱えていた状況」だったのである。つまり、「後の祭り」の状態にならなければ、「実際に、どのようなことが起きていたのか?」に気づかないのが、「人間の性(さが)」であり、今回も、同じ失敗が繰り返されているものと感じている。