本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.6.1

巨人の肩にのる小人

「万有引力」を発見し、「近代科学技術」が発展するキッカケを作った「ニュートン」は、「私がかなたを見渡せたのだとしたら、それは巨人の肩の上に乗っていたからである」という「有名な言葉」を残したが、具体的には、「コペルニクスの地動説」や「ケプラーの法則」などが、「巨人の一人」として指摘できるようである。つまり、「天文学のサイクル論」が見つかった結果として、「重力の発見」が可能だったものと考えているが、この事実を、現在の「社会科学」にあてはめると、すでに、数多くの「巨人」が存在した状況のようにも感じている。

具体的には、「文明法則史学」を発見した「村山節氏」であり、また、「枢軸時代」を発見した「カール・ヤスパース氏」などのことだが、基本的には、「数千年前から、数多くの巨人が存在し、その結果として、現在の社会的な繁栄が存在している状況」のようにも感じている。つまり、「お釈迦さま」や「ソクラテス」などが、「第一の枢軸時代における巨人」だと考えているが、現在の「第二の枢軸時代」においては、残念ながら、この点が曖昧な状況のようにも思われるのである。

別の言葉では、「自然科学」や「科学技術」については、すでに、急激な発展を見せたものの、「技術を使いこなす人々」に関して、「心の謎」や「お金の謎」が解けていないために、現在、さまざまな問題が発生している状況のことである。より具体的には、「日本の歴史」を考えた場合、「明治維新からの約77年間」については、「富国強兵」というスローガンを掲げ、「前半は好調だったものの、後半は、軍部の暴走で国民が大きな被害を受けた状況」だったことも見て取れるのである。

そして、「敗戦から75年目を迎えた現在」では、「経済面や金融面での発展」を望んだ日本人が、「敗戦後の前半部分」では、実体経済の成長を享受することが可能だったという展開だったものの、「後半部分」では、第二次世界大戦の末期と同様に、官僚の暴走により、大きな被害を受ける可能性が高まっているのである。

つまり、「国家財政」が破綻した場合には、「金融面での焼け野原」が発生するものと思われるが、実際には、「異次元の金融緩和」などの言葉に踊らされ、「不都合なものは見たくない」というような心理が働いている段階とも思われるのである。具体的には、「誰も、現実を直視しようとしない事態」のことだが、実は、このような展開こそが、「巨人の肩にのる小人」が現れるための「必要条件」のようにも感じられるのである。