本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.5.22

ペントアップ需要とボトルネックインフレ

今回の「コロナ・ショック」は、世界中の人々の意識と行動を、ほぼ瞬間的に変化させたものと考えているが、今後は、この点を詳しく検証することにより、「デフレからインフレへのメカニズム」が見えてくるものと感じている。つまり、「実体経済のマヒ状態」から「マネー経済の破裂」に移行する状況のことだが、このときに有効な役割を果たすのが、「ペントアップ需要」と「ボトルネックインフレ」だと考えている。

より具体的には、最近、注目を浴びた「中国のリベンジ消費」のことでもあるが、このことは、典型的な「ペントアップ(折り曲げられた)需要」であり、実際には、「今まで我慢させられていた欲望が、一挙に表面化した状況」とも言えるのである。別の言葉では、「お金」が存在しながらも、「商品」に交換できる機会が存在しなかったために、潜在的な需要として、水面下で溜まっていた状況のことである。

そして、この時に注意すべき点は、今回の「マスク」のように、「需要が一挙に噴出したために、供給が間に合わなくなる事態」であり、このことは、いわゆる「劇場の火事」と呼ばれる「ボトルネックインフレ」を表しているものと考えている。つまり、「お金」と「商品」との関係性で、「デフレ」や「インフレ」が発生するわけだが、現在の「最大の注目点」は、「過去20年余りの超低金利状態において、どのような変化が発生したのか?」ということだと感じている。

具体的には、「デリバティブ」という金融商品に関して、「バブルが発生し、その後、崩壊を始めている状況」のことだが、この点に関して、「お金」と「商品」との関係性を考えると、現在の注目点は、大量の「お金」が存在しながらも、投資されるべき「商品」が消滅した状況とも考えられるのである。別の言葉では、本来、すでに、「大インフレ」が発生しているはずの状況でありながら、今までは、「中央銀行による国債などの買い付け」により、「実物資産への資金流出」が防がれていた可能性である。

つまり、現在は、人類史上、未曽有の規模で「潜在的なインフレ圧力」が高まっている段階とも思われるが、このことは、「金融面におけるペントアップ需要」とも考えられるのである。そして、「国債価格の暴落」とともに、一挙に、「実物資産へ、大量の資金が殺到する展開」を想定しているが、この時に注目すべき点は、やはり、「ボトルネックインフレ」という「需要に見合うだけ実物資産が供給できない状況」であり、その結果として、今後は、史上最大規模のインフレが世界的に発生するものと想定されるのである。