本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.6.16

事実は小説よりも奇なり

森友問題で自ら命を絶たれた「赤木俊夫氏」に関して、問題の再調査を支持する人々が「35万人以上の署名」を集めたが、この点に関して感じることは、やはり、「事実は小説よりも奇なり」ということだった。つまり、「小説」の場合には、「良心の呵責を覚えた佐川元理財局長が、真実を告白して、官僚や政治家の不正が暴露される」、あるいは、「警察や検察が、不正を調査して、悪者が逮捕される」というような展開となるものと思われるが、「現実」としては、「政治家や官僚が、より一層、力を持ち、さまざまな隠避や改ざんが繰り返されている状況」となっているのである。

そして、多くの人々も、「長い物には巻かれたほうが良い」、あるいは、「臭いものには蓋をすべきである」というような「意識」を持ち、自分に有利な「行動」を取っているようにも感じられるが、この時の注目点は、「この状態が、いつまで継続し、その後、どのような展開が予想されるのか?」ということである。そのために、現在は、「過去の歴史」を振り返りながら、「今後の展開」を考える必要性があるものと思われるが、このような状況下で、昔の人々が考えたことは、「嘘をつくと、閻魔様に舌を抜かれる」、あるいは、「地獄に落ちて、現生の償いをしなければいけなくなる」ということでもあったようだ。

別の言葉では、「自分の悪行は、子々孫々にまで悪影響を及ぼす」ということが、当時の人々には、きわめて当たり前の認識でもあったようだが、「お金が神様となった現代」においては、「迷信」という言葉で片付けられているのである。その結果として、現在では、未曽有の規模での「マネーの大膨張」や「先進各国の無謀な金融政策」などが実施されているが、今後の注目点は、「神から紙への変化」が発生したときに、「人々の心に、どのような変化が発生するのか?」ということだと考えている。

つまり、「戦後の日本人」のように、「ほぼ瞬間的な価値観の変化」が発生する状況を想定しているが、この時には、「赤木氏と佐川氏の、どちらが正しかったのか?」も明らかになるものと想定されるのである。ただし、この時の注意点は、今までの「常識」や「価値観」が完全崩壊する事態であり、実際には、「信用が完全崩壊した社会において、何を頼りにするべきなのか?」という問題意識が発生する展開である。

そして、過去の歴史を参考にすると、やはり、「目に見えない力」であり、また、「神」や「天」などの信仰とも思われるが、このことが、「文明の交代」の根本的な要因とも想定されるようである。