本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.9.16

西ローマ帝国滅亡の真因

近代の西洋文明に多大な影響を与えたと言われる「聖アウグスティヌス(西暦354年-430年)」に「神の国」という著書があるが、冒頭で説明されていることは、「キリスト教への改宗が、西ローマ帝国滅亡の原因ではない」ということだった。つまり、当時、盛んに議論されていたことは、「数百年にわたり繁栄してきた西ローマ帝国が、突如として崩壊した原因は、西暦392年に実施されたキリスト教の国教化である」ということであり、そのために、「聖アウグスティヌスは、キリスト教の擁護のために、神の国を著わした」という状況だったのである。

そして、これらの事実から理解できることは、「西暦410年」に起こった「蛮族によるローマ略奪」が「当時の人々に、きわめて大きな衝撃を与えた」という点であり、実際には、「この出来事により、多くの人々が、西ローマ帝国の滅亡を実感した可能性」のことである。つまり、約800年間も継続した「西洋の時代」が、「この事件をきっかけにして終焉の時を迎えた可能性」のことでもあるが、私自身としては、「約1600年後の2008年」に発生した「リーマンショック」が、実は、この事件に匹敵するのではないかとも感じている次第である。

別の言葉では、「デリバティブの大膨張」がピークを付けたのが、この時期であり、そのために、将来的には、「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)により、西洋の物質文明が終焉の時を迎えた」というような説明が行われる可能性を想定しているのである。つまり、その後に実施された「量的緩和(QE)」については、典型的な「リフレーション(通貨膨張)政策」であり、実際には、「国民の資金を使い、政府の延命策が実施された状況」だったと理解される可能性のことである。

また、「1600年前の状況」から推測されることは、今後、「東洋の時代」、そして、「唯心論の時代」が訪れる可能性でもあるが、実際には、「人々のフロンティアスピリット(開拓者精神)」が、「物質」から「精神」に移行する展開のことである。つまり、人々の興味と関心が、「地位や名誉、あるいは、お金」という「人爵」から、「天爵」という「精神的な高貴さ」へ変化する可能性のことである。より具体的には、東洋において、1600年ほど前から、「仏教」が広く研究され始めたわけだが、私自身としては、「西暦800年前後」に完成した「弘法大師の真言密教」がこの点に関するピークだったようにも感じており、しかも、「西暦1600年前後」に出来上がった「時は金なり」と「正反対の性格」を持っていた状況だったようにも感じている。