本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.9.17
1600年に一度の大転換
現在は、「1600年に一度の大転換期」に遭遇しているものと考えているが、具体的には、「3200年前のヒッタイト帝国の滅亡」、そして、「1600年前の西ローマ帝国の滅亡」のことである。別の言葉では、「文明法則史学」が教える「1600年に一度の西洋文明から東洋文明への大転換期」のことでもあるが、今回は、この点に加えて、「カール・ヤスパースの枢軸時代」を考慮する必要性も感じている。
具体的には、4000年ほど前から始まった「農業革命」と「文字の発明」により、「人類の精神レベルが飛躍的に向上した可能性」のことだが、実際には、「ヒッタイト帝国の滅亡以降、世界各地で、華やかな精神文明が大輪を開いた」という状況だったのである。つまり、「エジプト文明」に始まり、「東洋の原始仏教」や「古代キリスト教」、そして、「ギリシャ文明」というように、「現在よりも高度な精神文明が出来上がっていた状況」だったものと考えられるのである。
また、現在の混迷については、「1600年前」に発生した「西ローマ帝国の滅亡」で的確に説明できるものと考えているが、実際には、「大膨張したマネー」が「パンとサーカスの生活態度」を誘発した可能性のことである。つまり、「武力」を背景にした「国家権力」が、最後の段階で、「強大な資金力」を持ったわけだが、この時に重要な意味を持っていたのが、やはり、「マネーの性質」だったものと考えている。
具体的には、「フローの性質」を持つ「実体経済」については、今回の「コロナ・ショック」からも明らかなように、「突如として、全体が収縮する可能性」を秘めていながらも、一方で、「ストックの性質」を持つ「マネー経済」については、「大インフレの発生まで膨張し続ける性質」を持っている事実である。そのために、最後の段階では、「通貨の質が低下しながらも、量的に拡大する」という展開になるが、今回は、ご存じのとおりに、「デジタル通貨から紙幣への大転換」が、急速に発生するものと考えられるのである。
つまり、大膨張したマネーが「本末転倒状態」を作り出すものの、最後の段階で、「大逆転」が発生する状況のことだが、この点に関して興味深い事実は、「ケインズ」が指摘したとおりに、「30年以上も続いた金利の低下」については、「ほとんどの人が、同じ状態が永遠に続く」と錯覚する状況である。しかも、相場の格言から言えることは、現在の「マイナス金利」が「万人が呆れ果てたる値」を意味しており、間もなく、「人類史上、最大の転換期が訪れる可能性」である。