本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.9.26

最後の力を振り絞る日米欧の中央銀行

現在、世界の金融市場は、「コロナ・ショックから立ち直りつつある状況」と理解されているようだが、この点を、「中央銀行の資金繰り」から考えると、全く別の姿が浮かび上がってくるものと考えている。つまり、「国債の買い支えにより、超低金利状態を維持することが最優先事項となっている事態」のことだが、現在では、具体的な方策に関して、日々刻々と手段が限られている段階とも言えるのである。

より具体的に申し上げると、「米国の中央銀行であるFRB」については、現在、「総額」が「約7.12兆ドル(約747兆円)」にまで膨れ上がった状況でありながら、すでに、「国債の買い増し」が難しくなった段階のようにも感じられるのである。つまり、「国債買い付けの資金手当て」が難しくなっているために、現時点では、「口先介入」により、「国債価格の下落を防いでいる状況」とも思われるのである。

また、「欧州中央銀行(ECB)」については、現在、「総額」が「約6.53兆ユーロ(約809兆円)」にまで膨れ上がったものの、依然として、「若干の国債買い増しが継続可能な状況」とも言えるようである。そして、「日銀」についても、「総額が約689兆円」、そして、「国債の保有残高が約538兆円」というように、依然として、「若干の買い増し」が可能な状況となっているのである。

しかし、一方で、「日欧の中央銀行が、どのような方法で、国債買い付けの資金を調達しているのか?」を見ると、実際には、「政府からの借入金」が主な調達手段となっていることも見て取れるのである。つまり、今までの推移について振り返ると、最初に「民間の企業や個人からの借り入れ」、そして、次に、「民間金融機関からの借り入れ」という状況だったものが、最近では、「政府からの借り入れ」というように、「最後の力を振り絞っている状態」のようにも感じられるのである。

ただし、一方では、「徐々に、紙幣の増刷が実施され始めている段階」とも言えるために、今後の注目点は、「何時、臨界点に達し、国債価格が暴落するのか?」ということとも想定されるのである。つまり、「1980年代の初頭」から始まった「デリバティブのバブル」と「金利の低下」に関して、「何時、世界中の人々が、実情に気付くのか?」ということでもあるが、実際には、「ウォーレン・バフェット氏」が「金鉱株と割安株」を買い始めたように、「徐々に、変化が発生している段階」に差し掛かっており、間もなく、「劇的な大事件」が発生する状況のようにも感じている。