本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.9.29

デジタル革命の正体

現在、多くの人が想定していることは、「デジタル化の進展により経済が成長し、また、新たな収益源になる」という状況とも思われるが、私自身は、この点について、かつての「ビッグデータ資源説」と同様に、本末が転倒した意見のようにも感じている。つまり、手段と目的が混同されている可能性のことだが、実際には、「お金儲け」が目的であり、「デジタル化」は手段の一つに過ぎないものと想定されるのである。

別の言葉では、現代の「お金儲け」が、「どれだけ多くのデジタル通貨を獲得できるのか?」という状況となっており、このことは、「1971年のニクソンショック」以降に生まれた概念とも言えるのである。つまり、それまでの「金本位制」から、私が提唱する「信用本位制」に変化した結果として、「お金儲けの方法論」が激変したわけだが、実際には、「コンピューターネットワーク」の中で、「コンピューターマネー(デジタル通貨)」を獲得することが、現代人の目的の一つとなってしまったのである。

より具体的には、「お金持ちになれば、素晴らしい人生が送ることができる」、あるいは、「お金が人生の全てである」というような錯覚や誤解を持った人々が、世界全体に充満した結果、目に見えないデジタル通貨を求める人が増えたものと考えられるのである。そして、手段と目的とが混同され、「デジタル化の進展により、デジタル通貨はさらに増える」という誤解が発生しているようだが、この点には、二つの落とし穴が存在するものと考えている。

具体的には、「お金」の「量と価値の関係性」のことだが、実際には、かつての「ゴールドラッシュ」からも明らかなように、「商品の量が変化しない状況下で、金の採掘により通貨の量が増えると、物価が上昇する」という厳然たる事実が存在するのである。そして、もう一つの誤解は、世界的に認識されている「2006年から2009年のGFC(金融大混乱)」の時が、実は、「デジタル通貨残高のピーク」であり、現在では、実質上、「デジタル通貨が枯渇し始めた状況」となっている事実である。

つまり、現在は、すでに役に立たなくなり始めた「デジタル通貨」の獲得のために、「デジタル化の発展」に対して、巨額な費用が投資されているわけだが、私自身としては、「デジタル通貨」の発展が「世界のデジタル化」を促進し、その結果として、「デジタル技術が、今後、社会科学の発展に貢献する可能性」に期待している。具体的には、「AIの応用」により、哲学や経済学などが発展し、その結果として、「人生の最善手」が発見され、「地球との共生」、あるいは、「争いのない時代」が可能になる展開のことである。