本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.10.15

異次元金融緩和の限界点

今後の注目点の一つは、「異次元金融緩和の限界点」を判断することであり、具体的には、「マネーストック(M2)」と「マネタリーベース」との関係性を、具体的な数字で検証することだと考えている。つまり、「昨年末」から「現在」までの期間に、「どのような変化が発生したのか?」を検証することでもあるが、実際には、「市場への資金供給」を意味する「M2」が「約1041兆円から約1118兆円へ約77兆円の増加」、また、「日銀から民間金融機関への資金供給」を意味する「マネタリーベース」については、「513兆円から約584兆円へ約71兆円の増加」となっているのである。

そして、この変化から理解できることは、「金融システム全体に、資金繰りの問題が出始めている状況」であり、実際には、「中央銀行から民間金融機関」、そして、「民間金融機関から企業や個人」への資金供給が細っている状況のことである。より具体的には、「当座預金」という形で、日銀に資金が還流している状況となっており、実際のところ、「日銀のバランスシート残高」は「約573兆円から約689兆円へ約116兆円の増加」というように、「日本国内の資金が、日銀への集中度を高めている状況」となっているのである。

つまり、「国民の資金を使い、国家の借金である国債の買い付けが実施されている状況」のために、民間に資金が流れにくくなっているわけだが、現在では、この点に、更なる悪条件が付け加えられた状況のようにも感じている。具体的には、「貸付金の急増」というように、「民間の金融機関において、資金繰りの問題が出始めている可能性」も想定されるのである。そして、この原因としては、今まで、「民間の金融機関から当座預金を借りて、国債を買い付ける」という「構図」だったものの、現在では、「民間金融機関の資金繰り」に問題が出始めたために、「貸付金」という形で「日銀から民間金融機関への資金供給」までもが始まった点が指摘できるものと考えている。

より具体的には、「神様への信仰バブル」とでも呼ぶべき状況のことだが、その結果として発生した大転換が、「古代文明の復活」を意味する「ルネッサンス」だったものと想定されるのである。つまり、この前後から、「富の遠心力」が働き始め、その結果として、「実体経済の成長」が、徐々に始まったわけだが、その後の展開については、今までに、詳しく説明したとおりの状況だったものと感じている。

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