本間宗究(本間裕)のコラム
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2020.10.19
貴金属市場の実情
「金(ゴールド)価格の現状」は「短期間の調整期を経て、再度、急騰局面を迎えた段階」とも考えているが、現在、この点に関して、海外で注目されていることは、「先物と現物との間で、大きなせめぎ合いが発生している状況」である。つまり、「金や銀の価格」については、20年以上も前から、「メガバンクによる操作が行われているのではないか?」と疑問視されており、実際には、「JPモルガンへの制裁金」からも明らかなように、「先物を中心にして、価格の抑圧が実施されていた状況」だったのである。
そして、現在、最も注目されている事実は、「大量の先物売りが存在する状況」であり、また、「中央銀行が保有する金が、民間に貸し出されている可能性」でもあるが、この理由としては、「貴金属をはじめとした実物資産価格の上昇が、既存のインフレ率上昇に繋がり、結果として、金利デリバティブを崩壊させる懸念」が存在するからである。別の言葉では、金利の上昇が、「金融システム」を崩壊させる可能性が懸念されたわけだが、この結果として発生した現象が、貴金属市場における「現物の枯渇」であり、実際には、「大量の先物売りが解消できない状況」だったのである。
そして、このような状況については、現在、世界的に発生している、「実体経済」と「マネー経済」との「格差」を象徴する出来事のようにも感じているが、実際には、現時点でも、「実体経済の約10倍の規模のマネー経済が存在する状況」となっているのである。つまり、「大量のマネー」が存在するものの、実際には、「張り子のトラ」のような状況であり、「貴金属」などの実物資産を買おうとしても、「現物が不足している状況」、あるいは、「数倍、あるいは、数十倍の価格上昇が必要とされる状況」とも言えるのである。
より具体的には、今までが、「デジタル通貨が、デリバティブなどの金融商品に投資されていた状況」であり、この時の必要条件が、「超低金利の壁で、マネー経済から実体経済への資金流出を防ぐこと」だったのである。別の言葉では、「中央銀行が、国民の預金などを借りながら、国債を大量に買い付ける方法」が実施されていたわけだが、現在では、「デジタル通貨の枯渇」、そして、「紙幣の増刷」が始まったことも見て取れるのである。
そして、この事実に気づいた人から、「貴金属」や「割安株」、そして、「食料品」などの実物資産を買い始めたものと考えられるが、この点に関する問題点は、やはり、「現存するマネーの金額が巨大すぎる状況」であり、この結果として、今後は、「未曽有の規模での大インフレが世界的に発生する可能性」が高くなったものと考えている。