本間宗究(本間裕)のコラム

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2020.10.11

コロナ・ショックの後半戦

今回の「コロナ・ショック」は、今までの前半戦において、「実体経済のマヒ状態」という現象をもたらしたが、この点については、「実体経済の特徴」である「フロー」を表しているものと考えている。つまり、「諸行無常」という言葉のとおりに、「特定の商売が永遠に継続する可能性」は存在せず、また、「日々刻々と、事情や条件が変化している状況」でもあるが、今後の注目点は、「コロナ・ショック」が後半戦に移行する展開、すなわち、「マネー経済に対する影響」となって現れる状況だと考えている。

具体的には、「マネーの性質」である「ストック」から理解できることが、「お金は残高であり、インフレでしか消滅しない状況」であり、実際には、「最後の貸し手」である「中央銀行」が、「大量の紙幣を発行して、通貨の価値を激減させる方法が取られる状況」のことである。つまり、「BIS(国際決済銀行)」が指摘する「インフレ課税」のことでもあるが、今回の特徴としては、「過去のケースと比較して、あまりにも規模が大きく、また、世界的な広がりを見せている状況」とも言えるのである。

そのために、今後の注目点は、「いつ、本格的な大インフレが、世界を襲い始めるのか?」ということでもあるが、この点に関して参考になるのが、「風船の破裂メカニズム」や「大津波の発生メカニズム」だと考えている。つまり、「実体経済」と「マネー経済」との「圧力差」が拡大した時に、「マネー経済が破裂する状況」、あるいは、「大津波の前に、引き潮が発生する状況」のことである。

そして、この点を、今回の「コロナ・ショック」に当てはめると、最初に、「実体経済の縮小」が発生したわけだが、この時に取られた方策は、ご存じのとおりに、「中央銀行のバランスシート」を大膨張させる、「国家の景気対策」だったことも見て取れるのである。つまり、「大恐慌」のような事態に陥らないために、「国家の資金で、どのような政策でも取るべきである」という認識や理解が広がった結果として、「世界全体において、過去の貯金を使い果たしたような状況」となってしまったのである。

しかも、今回は、「将来の税金」までをも使い、ありとあらゆる政策が実施されたわけだが、現在は、「世界全体で資金繰りの問題が生じ、金利の上昇が始まった状況」、すなわち、「デリバティブの時限爆弾」が、刻々と音を立て始めた状況であり、そのために、現時点で必要なことは、「DXバブル」などに踊らされず、「自分の生活には、何が必要なのか?」を真剣に考えることだと感じている。